ZOWIEから新しい165Hzゲーミングモニター「XL2731K」が発売されました。
このモニターはXLシリーズの中では安価なモデルであるXL2731の後継機種という位置づけ。そのため、ハイエンド240Hzモニターである「XL2546K」や「XL2746K」と比べると明確にスペックが低いです。
XL2731Kの主なスペック
- パネル:27インチ TNパネル
- リフレッシュレート:165Hz
- DyAc(低性能版)
- S.Switch:なし
- アイシールド:なし
XLシリーズのトレードマークであるアイシールド(モニターの左右の耳)とS.Switch(丸いコントローラ)すら付属しないため、完全に廉価モデルという位置づけです。
でもね、なぜかこれ41,800円もするんですよね。
前作のXL2731はレビュー投稿時点でAmazon価格32,800円で売られているので、なんと世代が変わって9,000円も値上がりしてしまいました。んーまぁ機能がそのぶん良くなってれば別にいいとは思うんですが…果たしてどうなのか。
ということでレビュー用にサンプル機をお借りできたので、正直な感想を書いてみたいと思います。
XL2731からの進化点
まずはXL2731とXL2731Kのスペックを比較してみます。
進化している部分は太字にしてみました。
XL2731(旧) | XL2731K(新) | |
---|---|---|
パネル | 27インチ TNパネル | 27インチ TNパネル |
リフレッシュレート | 144Hz | 165Hz |
輝度 | 320 | 320 |
応答速度 | 1ms(GtG) | 1ms(GtG) |
入出力端子 | HDMI 2.0 x2 Display Port 1.2 x1 DVI-DL x1 ヘッドフォンジャック x1 | HDMI 2.0 x2 Display Port 1.2 x1 ヘッドフォンジャック x1 DVI端子は廃止 |
VESAマウント | ○ | ○ |
ピボット(縦置き) | ○ | ○ |
スイベル角度 | 45 / 45度 | 45 / 45度 |
チルト角度 | -5~20度 | -5~23度 |
高さ調整幅 | 140mm | 155mm |
主な機能 | Black eQualizer Color Vibrance ブルーライト軽減モード フリッカーフリー | Black eQualizer Color Vibrance ブルーライト軽減モード フリッカーフリー DyAc XL Setting to Share |
価格 | 32,800円 | 41,800円 |
変更点をまとめると、
- リフレッシュレートが144Hzから165Hzにアップ
- DVI端子が廃止
- スタンドの調整幅がちょっと広く
- DyAc、XL Setting to Shareに対応
って感じですかね。
うーん…まぁ着実に性能は上がってるみたいですが、9,000円も値上げするほどか…?というのが正直な感想。
XL2731KにはS.Switchとアイシールドが付属しない
ZOWIEのゲーミングモニターといえばモニターの左右に付いている耳「アイシールド」と丸いコントローラ「S.Switch」が特徴的ですが、XL2731Kにはそれらが付属していません。
付属品はご覧の通りスタンドとケーブル、取説のみ。
とはいえ、ぶっちゃけアイシールドは一般人にはほぼ不要だと思うので個人的にはあまりデメリットだとは思いません。
あれって要はプロゲーマーがオフライン会場でプレイする際に観客席などのノイズが視界に入らないように防御するためのモノだと思うので、目の前に壁しかない自宅で使う意味はあんまりないと思うんですよね。
ただ、S.Switchが付属しないのはちょっと残念。あのコントローラは普通に便利なので…
XL2731Kのデザインは「XL2546Kのデカい版」
大きさが違うという点を除けば、ちょっと前に発売されたXL2546Kとデザインはほぼ同じです。
台座の形状が若干違いますが、それ以外は「XL2546Kのデカい版」と言っていいほど丸っきり同じに見えました。
真正面からカメラを向けても自分の姿がほぼ写り込まないのはすごい。
かなり強烈なアンチグレア液晶です。
ZOWIEのモニターってスタンドの上部に持ち手が付いてるのがいいですよね。
アイシールドは付いてこないのに、アイシールドを取り付けるための穴は空いてました。
ただ、筆者が調べた限り27インチ用のアイシールドってのがZOWIEから単体発売されていないので、後付でアイシールドを付けれるわけでもなく、現状はただの飾り穴ですねw
ヘッドホンハンガーも搭載。これ地味に便利。
スタンドの動きはかなり自由度が高く、縦置きにも対応。
また、モニターの表面にボタンやロゴが一切ないので、どんな向きで置いてもデザイン的に全く違和感がありません。
これもZOWIEモニターの良いところですよねー。
XL2731Kの画面の色合いはこんな感じ
パネルの色合いをちょっとテストしてみます。
液晶パネルはTNパネルなので視野角は狭め。
ちょっと角度を変えるだけで全然違う色に見えてしまいますね。
正面から見る分には特に問題ないですが、デュアルモニター等で斜めから視聴するような置き方をすると色の破綻がかなり気になるかと思います。
カメラで撮影した写真をモニターに映した様子をまたカメラで撮影してみました。
色がいいモニターだと鏡に写したように同じような色合いが画面に表示されるのですが、デスクライトの照明の色なんかは全然違う色に表示されてしまっています。
まぁその代わりTNパネルには「応答速度が速い(残像が少ない)」というメリットはあるんですが、とはいえこの画質を我慢しなきゃいけないのは、2021年の今となってはちょっとデメリットのほうが大きいんじゃないかなあ。
今はIPSパネルのゲーミングモニターも普通に安いですからね。
XL2731KはDyAcの性能も制限されている
ZOWIE XLシリーズの特徴といえばDyAcという強力な残像低減機能が搭載されているという点。この機能のためにXLシリーズを買う人も多いでしょうし、筆者自身もこの機能は本当に素晴らしいものだと思っています。
XL2731Kにも当然DyAcは搭載されているのですが、ただ、公式サイトを見ていたら気になる文面が…。
※パネルの設計上の制限により、DyAcをONにすると輝度が低下します。(XL2546/XL2546S/XL2546K/XL2746S/XL2746Kでは発生いたしません。)
どうやらXL2731Kに搭載されているDyAcは、2017年発売のモニター「XL2546」に搭載されていたDyAcよりも更に低性能なものになっているようです。
うーん、DyAcは現在「DyAc+」という上位版も登場しているのに、今更なにをそんなに出し惜しんでいるのか…。
で、どのぐらい輝度が低下するのかですが、これがまた結構ガッツリ暗くなってしまうようです。
まずは画面の輝度を最大にしてDyAcをオフにした状態↓↓↓
で、下記がDyAcを「高」にした状態↓↓↓
暗っ!
後ろの壁やブラインドの明るさで分かるとおり、撮影時のカメラ設定は全く変えていません。
この画像の見た目のまんま、DyAcをオンにすると本当にこのぐらい暗くなりますw
で、次はDyAcを「プレミアム」にした状態。
高とプレミアムは同じぐらいの明るさの模様。
▲で、これはDyAcをオフにして「DyAcオン時と同じぐらいの暗さかな?」という輝度に設定してみた状態。
DyAcをオンにすると、だいたいDyAcオフ時で言うところの20~25程度の輝度にまで画面が暗くなってしまうようですね。
ここまで輝度が下がってしまうと、筆者の部屋だと昼間は全く使い物になりません。夕方以降、部屋を暗くしてプレイしないと画面が暗すぎますね。
うーん、XL2746SやXL2546Kの優秀なDyAcを知っている身からすると、これをDyAcと呼んで良いのか?と思うほど微妙な使い心地。
一応XL Setting to Shareには対応
XL2731Kはスペック的には廉価モデルという位置づけではありますが、XL Setting to Shareにはちゃんと対応しているようです。
XL Setting to Shareとは、誰かがアップした設定ファイルをネット上から拾ってくればいちいちモニターのボタンをいじらなくても瞬時に自分のモニターに同じ設定を反映できるというソフト。
プロゲーマーと同じ画面設定でゲームしたい、仲間うちで設定を共有したい、なんていうときに重宝する機能ですね。
▲例えばですが、VALORANTの有名プロチーム「ZETA DIVISION」は公式HPに選手たちの設定プロファイルをアップしてくれています。
このファイルをダウンロードしてXL Setting to Shareで適用するだけで簡単にプロと同じ設定でプレイできるというわけです。
▲今回試しにLazさんの設定を落としてみました。XL Setting to ShareにインポートすればXL2731Kにも適用できます。
▲今回はXL2546K用のファイルをXL2731Kに適用したのでこんな表示が出てしまいましたが、それでも一応適用はできました。
設定を確認してみると輝度や色温度設定などはちゃんと変更されていたので、設定項目が共通する部分はちゃんとインポートできたようです。
どんな人におすすめ?
もともとXLシリーズの廉価モデルとして存在していた「XL2731」の後継機種ということで、スペック的には「ハイエンド機を買うほどではない層」に向けた商品になっているようです。
ただ、そんなスペックにも関わらず41,800円もするのは正直かなり微妙…。
似たようなところだとASUS TUF Gaming VG279QRというモニターが27インチ・フルHD・165Hzというスペックで約35,000円、なおかつあちらはIPSパネル搭載。XL2731Kよりも画質がよくて価格は6000円ほど安いです。
また、Pixio PX279 Primeというモニターは27インチ・フルHD・240Hz・IPSパネルというスペックで39,800円。
うーん、筆者はZOWIEのデバイスを何個も所有していますし、個人的にも好きなメーカーですが、この機種に関してはどう贔屓目にみても商品力が低すぎるような気がします…
割高なXL2731Kをあえて買うべきユーザーがいるとすれば、
何らかの理由でIPSパネルが嫌いで、あえてTNパネルの27インチ・フルHD・165Hzモニターを求めている人
ぐらいでしょうか。
結構DIS多めで書いてしまいましたが、ただ、今って世界的に樹脂や半導体が不足していて「納期数年、価格数倍」みたいな状態になっていると聞きます。
もしかしたらZOWIE(の親のBENQ)としても値上げは不本意なのかもしれませんけどね…。
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