BenQ ZOWIEのゲーミングモニター「XL2746S」をレビューします。
ZOWIEと言えばDyAc搭載の240HzモニターXL2546が有名ですが、今回レビューするXL2746Sはその後継機種にあたる機種ですね。
XL2546からの主な変更点は以下の通り。
- 応答速度が1msから0.5msに性能アップ
- 残像低減技術がDyAcからDyAc+に進化
- サイズが24.5インチから27インチに大型化
基本的には順当な性能アップですが、画面サイズが大型化しているのは意外な変更ですね!
フルHDで27インチは少々大きすぎかなと思いますが、使用感はどうなんでしょうか。
そのあたりも含め、さっそくレビューしていきますね!
XL2746Sのスペックと外観
XL2746Sは240Hzで駆動するeスポーツ用ゲーミングモニター。
240Hzで駆動するハイエンドスペックで、ZOWIE XLシリーズの中では最上ランクの製品になります。
- パネル:27インチ TNパネル
- リフレッシュレート:240Hz
- 応答速度:0.5ms
- 集中を助ける「アイシールド」付属
- 残像低減技術「DyAc+」
- 暗所を明るく表示する「Black eQualizer」
- 彩度を強制的に変更する「Color Vibrance」
基本的にはXL2546が順当に進化したようなスペックですが、冒頭でも紹介したとおり画面サイズが大型化しているのが意外なポイント。
この変更がゲーム画面の視認性にどのように影響するのかは後ほどレビューします。
まずは外観を見ていきましょう。
パッケージと付属品
写真だと分かりにくいですが箱がめちゃめちゃデカイ。
- モニター本体
- スタンド
- アイシールド
- S-Switch(リモコン)
- ケーブル類
- 保護カバー
- 取説
内容物は上記の通り。
画面以外にこれだけ付属品が入っていたらそりゃ箱もデカいですな…
モニター本体のデザイン
▲最新のモニターにしてベゼルがちょい太めですが、これはモニターと外界をきっちり区切るためにあえて少し太めにしているとのこと。
▲スタンドにはケーブルホールも付いています。
▲可動部分にはモニターの位置を再現するための目盛りが随所に設けられていました。
▲モニター左側には飛び出し式のヘッドホンハンガーもありますね。
便利っちゃ便利ですが、個人的には右側に付いてるほうが良いような気もしました。
自分の右側にPCを置いてる人のほうが多いと思うし、ぼくの場合モニターの左側までヘッドホンの線が届かないですw
▲スタンドとアイシールドを装着してデスクに設置してみた図。
モニターの左右にあるアイシールド(耳みたいなもの)がXLシリーズの特徴ですよね。
このシールドを付けることによって余計なものが視界に入らなくなるため、人によっては集中しやすくなるみたい。
ぼくは特に効果を感じられませんでしたが(もともと壁しか見えないし…)、オフライン大会などでモニター越しに観客がいるような環境では大いにメリットがありそうです。
スタンドの可動域
▲上下は130mm
▲ピボット(回転)
▲チルト(お辞儀)
▲スイベル(首振り)
スタンドの可動域はかなり広いですし、台座が四角いのでキーボードを近づけても干渉しづらいです。
キーボードをハの字配置する人は、上記のように台座を斜めに配置すればキーボードをかなり寄せることもできます。
肘をついて前傾姿勢でプレイする人には有り難いかも。
残像低減機能「DyAc+」の効果
XL2746Sには「DyAc+」という強力なゲーム補助機能が付いています。
この機能が強力だからこそZOWIE XLシリーズがゲーミングモニター界で不動の地位を築いていると言っても過言ではありません。
DyAcとは
DyAcとは、簡単に解説すると「フレームとフレームの間に黒い画面を挿入する機能」です。
これによって画面が切り替わるときの残像が薄くなり、実際のリフレッシュレートよりも画面がヌルヌル動いて見えるというもの。
えっ…黒い画面がいちいち挟み込まれるなんて目がチカチカするんじゃないの?と思うかもしれませんが、実際は肉眼では捉えきれないほど高速で点滅しているので黒い画面を視認することはありません。
見た目的には「DyAcをオンにしたらなんか画面がヌルヌル動くようになった」と感じるだけなので、だからこそ強いのです。
DyAc+の効果を動画で検証
▲DyAc+の効果をスローモーションで撮ってみました。
残像が濃く出る瞬間にちょうどよく黒画面が差し込まれており、明らかに残像感が減っていますね!
DyAc+にはHighとPremiumという2つのモードがありますが、Premiumモードの方がガッツリと黒い画面が挿入されているようです。
Highモードは恐らくXL2546に採用されていたDyAc(+なし)と同等だと思われます。
「歴然とした差がある」と言うほどでは無いものの、肉眼で見てもPremiumモードのほうがわずかにヌルヌル感が強いことは感じ取れますね。
高速で動いている敵をAIMする場面・自分が高速でぶっ飛び回っている場面なんかだとわりと性能アップを体感しやすいと思います。
ぼくは趣味でゲームをプレイするだけの一般プレイヤーですが、eスポーツに真剣に取り組んでいる”ガチ勢”の人ならより顕著に効果を感じられるのではないでしょうか。
DyAc+のデメリット
ただしデメリットとして、長時間見続けているとかなり目が疲れます。
肉眼で見えないとはいえ1フレームごとに黒い画面を挿入してるわけなので、言うなれば意図的に強烈なフリッカーを発生されているようなものですからね。
フリッカーって何?という人は下記を参照。
フリッカー(flicker、フリッカ)は、蛍光灯やブラウン管を用いたディスプレイに生じる細かいちらつき現象のことである。原義は「明滅」「ゆらぎ」である。ディスプレイの書き換え頻度であるリフレッシュレートが低く、人間の目でその点滅を認識できるようになるという現象である。フリッカーの生じているディスプレイを長時間使っていると、疲労・めまい・吐き気などにつながる。
Wikipedia「フリッカー」より引用
XL2746Sはフリッカーフリー仕様のモニターなので、DyAc+をオフにしているときは上記のようなフリッカーによる体調不良が起こることはありません。
眼精疲労のことを考えるなら、ゲームをしない時はなるべくDyAc+をオフにしたほうが良いでしょうね。
XL2746Sの画質
最近はIPSパネルのゲーミングモニターも出てきましたが、XL2746Sは昔ながらのTNパネルを採用したゲーミングモニター。
TNパネルは残像や遅延の面では優れたパネルですが、色再現性があまり良くないうえに視野角も狭く、端的に言うと「画質が悪い」という難点があります。
どの程度の画質なのかよく分かる写真をいくつか撮ってみましたので、参考にしてみてください。
視野角の広さ
まずは視野角のテストから。
▲モニターをチルト(お辞儀)させてみた図。
デスクトップの背景を単色オレンジにしているのですが、視野角が狭いためわずかにグラデーションっぽく見えてしまいます。
▲斜め横からみた図。
これ、カメラの設定は一切変えていません。
斜めから見るとかなり暗いですね。
ご覧のようにTNパネルは正面から見た時でさえ上と下で色が異なるくらい色再現性が低いです。
デザインや写真・動画編集に使うのは相当厳しいと思ったほうが良いでしょう。
ただ、安物のTNパネルと比べるとXL2746Sの画質はわりとマシな方だと思います。
安いモニターは目が痛くなるくらい色がギラギラしてたりしますが、XL2746Sは目に優しい発色というか、目に刺さるようなどぎつい感じは全くありません。
8万円もするモニターですから、TNパネルの中でも上位のものを使っているのでしょう。
Black eQualizerで暗所の視認性がアップ
それにXL2746SにはBlack eQualizerという機能がありまして、これのお陰で「ゲームがしやすい画質」という意味ではとても優秀なモニターになっているんですよ。
Black eQualizerは上記の通り「暗所の視認性を向上させる機能」で、ゲームの仕様に関係なくモニター側で強制的に暗所を明るくすることができます。
ホラゲーやDead by Daylightのように真っ暗な視界でプレイするゲームではかなり有利に働くのではないでしょうか。
そんなに暗くないゲームでも5~10くらいに設定しておくと明らかに視認性が良くなるので、「雰囲気よりも視認性!」という人には是非活用して欲しい機能です。
Color Vibranceで色の鮮やかさを調整できる
また、Color Vibranceという機能を使えば画面の彩度も強制的に変更することが可能。
色を普通より鮮やかにできるのはもちろん、数値を下げればモノクロにすることも可能です。
Overwatchのように色が多くてゴチャゴチャしてるゲームではColor Vibranceの数値を下げて色味を落ち着かせるというのも良いかもしれません。
この他にもガンマ補正や色弱者向けの色補正など、XL2746Sにはゲーム画面の視認性をアップさせるための機能が色々と付いています。
色の正確性やパッと見の綺麗さではIPSパネルやVAパネルに軍配が上がりますが、あくまでゲームをするためのモニターと考えればDyAc+も含めた「動体表示性能の高さ」というメリットのほうが大きいのではないでしょうか。
XL2746Sをしばらく使ってみた感想
それではレビューにあたり数日間使ってみた感想をまとめていきます。
- 27インチでもぜんぜん違和感なかった
- DyAc+は慣れると手放せなくなる
- S-Switchがめちゃくちゃ便利
- DyAc+のオンオフ時に1秒ほど画面が暗転するのがウザい
パッと思いついたのは上記の4つ。
当初は「フルHDで27インチってデカくないかな?」という点が一番気がかりでしたが、使ってみると意外にもぜんぜん普通!
24インチと比べると横幅が6cmほど広いだけなので、明らかにデカイと感じるほどではないかもしれません。
ぼくはXL2746Sが届く前には24.5インチのモニターを使っていましたが、XL2746Sを数時間使ったらもう24.5インチの感覚を思い出せなくなりましたw
それぐらい違和感なく馴染んでおり、数日経った今となってはデカイなーと感じることは無いですね。
あとDyAc+のオンオフを切り替える際に、S-Switch(リモコン)がとても役に立ちますね!
数字で1・2・3と書いてあるボタンに好きな設定を割り当てることが可能なので、
- ボタン1:DyAc+オン、Black eQualizerチョイあげ(ゲーム用設定)
- ボタン2:DyAc+オフ、輝度低め、色鮮やかめ(ブラウジング用設定)
みたいな使い分けが簡単にできちゃいます。
目の疲れを考えるとゲームをしない時にDyAc+をオフにするのは必須なので、S-Switchは毎日使う必須アイテムですねー。
まとめ
- なんと言ってもDyAc+が強力。超ヌルヌル
- 薄暗いゲームではBlack eQualizerも結構強い
- 機能の割にはちょっと高いかも
「ゲームを快適に(有利に)プレイするためのモニター」として考えると、現状トップクラスに強力なモニターだと思いました。
相性が悪いゲームというのも恐らく存在せず、FPSゲーマーなら誰でもDyAc+の威力を体感できるでしょう。
しかし前機種XL2546が6万円以下で買えていた事を考えると、8万円という価格設定はちょっと強気過ぎるかなーという気もします。
もしすでにXL2546かそれに準ずる性能のモニターを持っているなら、DyAc+のためだけにXL2746Sを買うのはちょっとコスパが悪いですね…
とはいえ、究極の動体表示性能を求める人にとっては間違いなく最高峰のモニターです。
少しでも不利な要素は排除したい!というガチゲーマーの方は検討してみてはいかがでしょうか。
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