PA279CVレビュー:色精度が高くUSB-C接続にも対応。欠点の少ない4Kモニター

PA279CV レビュー

ASUSのUSB-C対応4Kモニター「ProArt Display PA279CV」をレビューします。

PA279CVはクリエイター向けの27インチ4Kモニターで、

  • IPSパネル
  • sRGB 100%、Rec. 709 100%
  • 色精度(ΔE<2)にキャリブレーション済
  • USB-C 65W給電対応
  • Adaptive Sync対応

というスペックが5万円台で手に入る、かなりお買い得なモデル。

何十万もする本格的な機種は買えないけど、手が届く範囲でなるべく色が正確なモニターがほしい」という人にちょうどいい性能で、個人でクリエイター活動(ブログ、Youtube)をしているぼくにはドンピシャで刺さるスペックでした!

作業環境をレベルアップさせたいクリエイターは要チェックです。

ということで到着してから2週間ほど使ってみたので、率直な感想を書いていきますね!

目次

PA279CVのスペックを解説

パネル27インチ IPSパネル
リフレッシュレート60Hz
解像度4K(3840×2160)
色空間sRGB100%
色精度ΔE<2
応答時間5ms (GtoG)
入力端子– USB-Cx 1
– DisplayPort 1.2x 1
– HDMI(v2.0)x 2
– USB 3.1 x 4
– イヤホンジャック :搭載
– USB-C 電力供給 :65W
重量(スタンドを含まない) :5.7 Kg
おすすめポイントブルーライトカット対応
フリッカーフリー対応
VESAマウント対応
Adaptive Sync(AMD FreeSync)対応
PIP・PbP対応
HDCP2.2対応
色温度設定モードあり
スペック情報

スペックの中で特筆すべき点を太字にしてみました。

太字の部分を少し解説していきますね!

sRGBカバー率100%

まずPA279CVの一番のウリは色域の広さと色精度の高さでしょう。

sRGBカバー率100%、つまりsRGBモードで撮影した写真や動画、sRGBで制作したイラストの色合いを完璧に再現できるということになります。

色精度:ΔE<2

PA279CVは色精度がΔE<2になるよう、出荷前に1台1台キャリブレーションしてから出荷しているとのこと。

…と言っても「ΔE<2って何?」という人も多いと思うので、目安となる表を貼っておきます。

色差ΔEの範囲知覚される色差の範囲
0~0.2特別に調整された測色器械でも誤差の範囲にあり、人が識別不能。
0.2~0.4十分に調整された測色器械の再現精度の範囲で、訓練を積んだ人が再現性をもって識別できる限界。
0.4~0.8目視判定の再現性からみて、厳格な許容色差の規格を設定できる限界。
0.8~1.6色の隣接比較で、わずかに色差が感じられるレベル。一般の測色器械間の器差を含む許容色差の範囲。
1.6~3.2色の離間比較では、ほとんど気付かれない色差のレベル。一般的には同じ色だと思われているレベル。
3.2~6.5印象レベルでは同じ色として扱える範囲。塗料業界やプラスチック業界では色違いでクレームになることがある。
6.5~13.0JIS標準色票、マンセル色票などの1歩度に相当する色差。
13.0~25.0細分化された系統色名で区別ができる程度の色の差で、この程度を超えると別の色名のイメージになる。
引用元:http://kato-glaze.up.seesaa.net/image/kyoyousikisa.pdf

硬い表現なので何言ってるか分からない部分もありますが、要するにΔEが2を超えないようにキャリブレーションしてあるということは「誰が見ても分かるような誤差はない」と思っていいレベルということでしょう。

さて、これを踏まえて製品に付属するキャリブレーションレポートを見てみますと、

PA279CV キャリブレーションレポート

今回レビューしている個体はAvg. Delta E(平均ΔE)が0.42とのこと。

えっ、めちゃくちゃ優秀じゃないですか…?
2どころか1を超えている色すらほとんどないレベルw

さきほどの表で0.4は「十分に調整された測色器械の再現精度の範囲で、訓練を積んだ人が再現性をもって識別できる限界。」とのことでしたから、これはもう人間が知覚できるような誤差はほぼ無いと思って良さそうですね。

USB-C 65W給電対応、USB3.1ポート×4

USB-C接続に対応したパソコン(Macbookなど)の場合、モニターとパソコンをUSB-Cケーブルでつなぐだけで映像出力と充電を同時に行うことが出来ます。

マカーにとっては非常に使い勝手の良いモニターですね!

おまけにUSBポートが4つも付いているため、モニターをUSBハブとして使うことも出来ます。

PA279CVの詳細レビュー

それでは写真を撮りながら細部のレビューをしていきます!

“道具感”の強いデザイン。

PA279CV レビュー
正面
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背面

直線的でやや無骨なデザインです。

デザイン性よりは使い勝手を重視している感じがしますね!

PA279CV レビュー
スタンドが平らなのはGOOD

あまりにも平面的なのでちょっと味気ない気もしますが、スタンドが真っ平らで物を置けるのは便利。

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ボタン部分

ベゼルの正面側に操作ボタンがあります。
デザイン的には下面や背面に置いたほうが見栄えはいいと思いますが、正面に見えていたほうが操作性はいいですよね。

あと、クリエイター向けの機種らしくベゼルに目盛りが掘ってあり、モニターのベゼルを定規として使うことが出来ます。
印刷物のデザインをする人なんかには便利な機能なんでしょうか?

PA279CV レビュー

ASUSロゴの主張、ちょっと強すぎない?
もうちょっと控えめにしていただけると大変助かります。

PA279CV レビュー

ポート類はかなり豊富です。特にUSBポートが4つもついているのは超便利!

Macbook等をUSB-Cで接続すると、このUSBポートにつないだ機器はPCと接続されたことになります。
つまりモニターをUSBハブ代わりに使うことが出来るのです。

4ポートもあればマウス・キーボード・トラックパッドをつないでもまだ余りが出ます。
これに慣れてしまうとUSBポートがついてないモニターに乗り換えられなくなるほど便利…!

スタンドの可動域はかなり広い!

スタンドの可動域

付属のスタンドはかなり優秀です。

  • チルト(お辞儀):+35° ~ -5°
  • スイーベル(首振り):+45° ~ -45°
  • ピボット(縦回転):+90° ~ -90°
  • 高さ調整:0~150mm

可動域はめちゃくちゃ広いですね。
これより動くモニターを探すのが難しいレベル。

PA279CV レビュー
ベタベタ

特に下げ方向の可動域が凄まじいです。
ベッタベタのシャコタン状態にできますねw

初期設定の色合いが素晴らしい!

PA279CV レビュー
電源入れた

キャリブレーション済みで出荷されるので当たり前っちゃ当たり前なのですが、初期設定の色味が素晴らしい!

箱から出してPCに接続すればもうそれでOK。
デフォルトだと明るさが100になっているのでそれだけは下げたいですが、ほかは何も設定をイジる必要がないですね。

PA279CV レビュー
Macbook Airと接続

Macbook Airを接続してみました。
箱出しでこの色です。キャリブレーターなどは一切使っていません。

Apple製品のディスプレイは色が鮮やかなことで有名ですが、PA279CVはMacbookのディスプレイと比べても遜色ない色合いだと思います。

同じような価格帯のモニターでも色にこだわってない機種だと「Macbook本体の画面と全然色が違うやないかい…」と感じることも多いのですが、PA279CVは肉眼で見てもMacbookの画面との色差をほとんど感じません。

視野角のテストとして壁紙を単色にしてみました。

横を向けてしまうと流石に色が変わってしまいますが、上下方向の視野にはかなり強いですね。
さすがIPSパネル。

PA279CV レビュー
精細感のテスト

モニターの精細感(ツブツブ感)はこんな感じ。
比較対象は手元にあったiPhone SE2。

いやあ、27インチ4Kモニターの高精細感は凄まじいものがありますね…
iPhoneのステータスバーの電池残量の数字と同じようなサイズのフォントが普通に読めちゃいます。

まぁさすがにこのまま等倍で使うのは字が小さすぎて厳しいですが、拡大すればするほど画素を贅沢に使うことになるので、文字のフチなんかはもっと滑らかに見えますね。

5万円のモニターでこんなに高精細な映りが楽しめるなんて、いい時代になったもんです。

設定できる項目や便利機能が多い…!

使いこなせるかどうかは別として、PA279CVは便利機能や調整項目がめちゃくちゃ豊富です。

ブルーライト軽減設定

▲ブルーライトカットには当然のように対応。

PA279CV レビュー

▲PIP(Picure In Picture)という機能を有効にすると、ワイプのような形でサブPCの映像も同時に出力することが出来ました。

PA279CV レビュー

▲そしてこちらはPbP(Picture by Picture)という機能。
2ソースの映像を横並びに表示できるというものです。

▲あとは色相をかなり大胆に変更することができたり、

▲黒レベル(黒の濃さ)を調節できたり、

PA279CVのルーラー機能

▲画面に5mm単位の目盛りを表示できたり、

PA279CV 紙媒体の実寸台

▲A4やB5用紙の実寸大の目安を表示できたり、などなど。

なんとなく印刷物の制作に役立ちそうな機能が多い印象。

▲色温度をケルビンで指定することも出来ます。

▲あと、意外にもAdaptive Sync(FreeSync)に対応。
応答速度は5ms(GTG)とそれほど速くないものの、RPGなどをプレイする程度ならゲーミングモニターとしても問題なく使えます。

グラフィックの綺麗さを堪能する系のゲームなら、色が正確なぶんむしろ本格的なゲーミングモニターより向いているかもしれないですね。

使ってみて気になった点

性能の割に格安でとても良いモニターだと思いますが、気になる点があるとすればコレでしょうか。

DCI-P3カバー率はそれほど高くない

レビューの一環としてSpyder X Proというキャリブレーターを使って色域を計測してみました。

結果は以下の通り。

  • sRGB 97%
  • NTSC 75%
  • AdobeRGB 81%
  • P3 81%

環境光がバリバリ強い真っ昼間に計測したので誤差は大きいと思います。数値は参考程度にお願いします。

でも計測の誤差を考慮しても、このテのデザイナー向けモニターにしてはP3カバー率がちょっと低いような気がしますね

確かにモニターのカラーモードを「標準」「sRGB」「Rec.709」にしている限りはとても素晴らしい色合いなのですが、モードを「DCI-P3」にするとなんだか黄色がかった変な色合いに感じました。

最近はスマホの画面もP3モード対応の機種が多くなってきているのでP3の精度が高いモニターを求めるクリエイターも多いとは思いますが、このPA279CVに関してはsRGB系のモードに特化したモニターと思ったほうがよさそうですね。

まとめ

PA279CV レビュー
PA279CVの特徴まとめ
  • 27インチIPSパネルの4Kモニター
  • 色が正確(sRGBカバー率100%、色精度ΔE<2)
  • USB-C 65W給電対応
PA279CVの良いところ
  • 初期設定の色合いが素晴らしい。何もいじる必要ないレベル
  • スタンドの可動域がすごく広い
  • USBポートが4つも付いてて便利
PA279CVのイマイチなところ
  • DCI-P3カバー率はそれほど高くない

箱から出してすぐの状態でこれほど映りが良いモニターは初めて触りました!

USB-C対応&USBポートが豊富というのも、Macユーザーにとっては非常に嬉しいですね。

P3カバー率はやや物足りない気もしますが、sRGBモードで事足りる作業(写真編集やYoutube動画編集、イラストなど)をするだけなら気にする必要はないでしょう。

手の届く範囲でなるべく色が正確なモニターがほしい」という方におすすめのモニターです!

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