メカニカルキーボードの「軸」ってどれがいいの?【違いを解説】

メカニカルキーボード 軸 違い

「赤軸」とか「青軸」とか色々あるけど、よくわからん…
色によって何が違うの?
そもそもどんな種類があるの?

という方のために、メカニカルキーボードの「軸」について分かりやすく解説します。

ちょっと良いキーボードを買おうとすると、なにやら赤軸だの青軸だのという文字を目にすると思います。
しかし、初心者からすると「何が違うの…?」って感じではないでしょうか。

そこでこの記事では、

  • 「軸」とは何か
  • 色によって何が違うのか
  • どの色がおすすめなのか

について、初心者でもサクッと理解できるように解説します。
メカニカルキーボードの軸について知りたい」という方の参考になれば幸いです。

目次

「軸」とは、キーボードのキースイッチのこと

Majestouch 赤軸
FILCO Majestouch 赤軸

メカニカルキーボードのキーキャップを取り外すとこんな感じのスイッチが入っているのですが、これはキースイッチという部品です。

で、これを日本では「」という俗称で呼んでいます。

(海外では普通にSwitchとかKey Switchと呼ばれている。Shaftなどと呼ばれているのは見たことがない)

メカニカル 青軸 茶軸 赤軸 緑軸 白軸 黒軸

青軸茶軸赤軸…という呼び方は、このキースイッチの色を指しているのです。

もっと厳密に言うと、キースイッチ業界最大手のCHERRYという会社が自社のキースイッチにRed SwitchやBlue Switchという名前を付けたので、その「色で呼ぶ」という慣習がキーボード業界全体に広がっている感じですかね。

色によって何が違うの?

で、この色によって何が違うのかと言うと、タイピングしたときの打鍵感(打ち心地)が違います。

いくつか例を出すと、

  • 赤軸… スーッと押し下がる、軽い押し心地
  • 茶軸… 少しだけ手応えがある、小気味よい押し心地
  • 青軸… カチャカチャ音が大きい、はっきりした押し心地

みたいな感じ。

ちなみに、世の中に存在するメカニカルキーボードの大半はドイツ CHERRY社製のキースイッチ「CHERRY MXシリーズ」を使って製造されていて、Amazonの商品概要欄などを見れば何色の軸が使われているのか書いてあります。

Corsair K63 商品ページより引用

例えばあなたが今、上記のCorsair K63というキーボードを使っているとして「壊れちゃったから新しいキーボードがほしいな」「今と同じ打ち心地の機種が欲しいな」と思ったら、Cherry MX Redキースイッチが使われているキーボードを買えばいいのです。

使われてるスイッチが同じなら、たとえキーボードの販売メーカーが違ったとしても打ち心地はほぼ同じだと思っていいでしょう。

(厳密に言うとキーボードの素材が金属か・樹脂か、キーボードが重いか・軽いか…など色々な理由で打鍵感が変わるので、メーカーによって多少の違いはありますが)

マイナーな軸も含めると100種類以上もバリエーションがある

メカニカルキーボード 軸 違い

この軸には、実にたくさんのバリエーションがあります。

業界最大手のCHERRY社の正規ラインナップだけでも12種類。
中国の部品メーカーGateron社製のスイッチに至っては40種類以上。

その他にもマイナーなメーカーやゲーミングブランドのオリジナル軸なども無数にありますので、合計したら100種類はゆうに超えるでしょう。

なかには違う軸同士の部品を組み合わせてオリジナルの軸を作ってしまうキーボードマニアもいますから、そこまで含めたら無限に存在する言っても良いかもしれません…

代表的な軸 トップ6

メカニカルキーボード 赤軸 青軸 茶軸 銀軸

ええー!100種類もあったらどれを選べばいいか分からない…!

とお思いの方…ご安心を。
確かにマイナーな軸を含めたらとんでもない数が存在しますが、実際のところ、幅広く流通している軸は10~20種類くらいです。

そのなかでも特に有名で初心者にもおすすめな軸を6つ紹介しますので、どれが好みか考えてみてください。

赤軸|スーッと滑らかな打ち心地

赤軸 リニア 
引用元:CHERRY公式サイト
特徴
  • キー荷重:45g
  • タイプ:リニア

赤軸はもっとも人気のある軸で、すべての基本となる軸と言っても過言でないでしょう。

キーが何の引っ掛かりもなく押し下がり、ただバネが伸縮してるだけのような滑らかな押し心地が特徴です。
(このような打鍵感の軸を「リニア軸」と呼びます)

そのため底打ちしないようにそ~っと打鍵すれば、タイピング音量を抑えることも可能。

滑らかなタイピングフィールが好きな人、初めてメカニカルキーボードを買う人は赤軸を買っておけば間違いないでしょう。

赤軸のタイピング音

打鍵音は「スカスカ」「カチカチ」みたいな、いわゆるキーボードって感じの音です。
メカニカルキーボードと言えばこれを想像する人も多いでしょう。

ピンク軸(静音赤軸)|赤軸の静音バージョン

ピンク軸
引用元:CHERRY 公式サイト
特徴
  • キー荷重:45g
  • タイプ:リニア
  • 静音

赤軸はタイピング音がカタカタうるさいかも…と感じる方は、赤軸の静音バージョンであるピンク軸がおすすめ。

上記のGIF動画の通りキーが上下する部分に白い吸音材が用いられており、キーを底打ちしたときの音・底打ちしたキーが戻ってきたときの音がほとんどしません。

タイピング音は「スコスコ」という擦れ音に近い音で、これはこれで気持ちいい音ですよ。

ピンク軸(静音赤軸)のタイピング音

赤軸と比べると明らかに「カチカチ音」が軽減されています。
クッション性のある打ち心地なので、指にも優しいですよ。

【関連記事】Ducky One 2 Miniレビュー:ピンク軸のスコスコ感が良い!小さくて美しいゲーミングキーボード

銀軸|赤軸の高速バージョン

銀軸
引用元:CHERRY 公式サイト
特徴
  • キー荷重:45g
  • タイプ:リニア
  • アクチュエーションポイント:1.2mm(他の軸はたいてい2mm)

銀軸は赤軸よりもアクチュエーションポイントが浅く、素早いキー入力が可能なキースイッチです。

アクチュエーションポイントというのは「どれぐらいの深さまでキーを押し込んだら入力判定されるか」という深さのことで、これが浅ければ浅いほどキーを押し始めてから入力が判定されるまでの遅延が少なくなります。

なので銀軸は別名スピード軸とも呼ばれており、コンマ数秒レベルの遅延が命取りになるゲーマーなんかに好まれる軸ですね。

ただし「ちょっと押しただけですぐONになる」という事は、逆に言うと「底まで押し切ったキーがなかなかOFFにならない」と言い換える事もできます。

単発でポンッと押したときの遅延では有利ですが、決して連打が速くなるわけではないという事は頭に入れておいた方が良いでしょう。

銀軸のタイピング音

タイピング音は、赤軸とほとんど同じですね。

黒軸|赤軸の重いバージョン

黒軸
引用元:CHERRY 公式サイト
特徴
  • キー荷重:60g
  • タイプ:リニア

黒軸は、赤軸のキー荷重を少し重たくしたバージョンです。
赤軸のキーの重さが45gなのに対し黒軸は60gと、約30%ほど重たい計算なりますね。

「キーが重い」という書き方をすると指が疲れそう…と思うかもしれませんが、強めにタイピングする人は重いキーのほうがかえって疲れにくかったりします。
打鍵感が明瞭になってミスタイプが減る人も多いかもしれませんよ。

(ちなみに筆者は普段67gの軸を使っていますが、1日中タイピングしても別に指は疲れません)

しっかりした打ち心地が欲しいという方は黒軸がおすすめです。

黒軸のタイピング音

音の質的には赤軸と同じですが、バネが強いためか「スコスコ」という擦れ音が強い感じがしますね。

茶軸|カチャカチャ・シャキシャキな打ち心地

茶軸 タクタイル
引用元:CHERRY公式サイト
特徴
  • キー荷重:55g
  • タイプ:タクタイル

茶軸は今まで紹介してきたリニア軸とは違い、キーを押している最中にわずかに「コリッ」という手ごたえを感じるのが特徴です。

(このような打鍵感の軸を「タクタイル軸」と言い、コリッという手応えのことをタクタイル感と言います)

上記のGIF動画のとおり内部のツメにヤマが設けられており、そのヤマを乗り越える瞬間に「スイッチを押した感」が手に伝わってきて心地よいです。

タイピング音は「カチャカチャ…」「シャキシャキ…」のような感じで、リニア軸より少しだけ音が大きいですね。

多少の手応えは欲しいという人におすすめ。

茶軸のタイピング音

シャキシャキ感!

青軸|カチカチ爽快でうるさい打ち心地

青軸 タクタイル
引用元:CHERRY公式サイト
特徴
  • キー荷重:60g
  • タイプ:クリッキー

青軸はクリッキー軸と言って、クリックしているような感触が特徴的な軸です。

強く押そうが丁寧に押そうが関係なく、キーを押せば必ず「カチッ」という明確なクリックサウンドが響きます。
マウスをカチカチしている感覚に近いかも。

上記のGIF動画の通り、中の部品が底面に叩きつけられるような構造になっているので、どんなに優しくタイピングしても音は静かになりません。

しかしこの底面にキーが叩きつけられる感覚は、何とも言えない爽快感があります。
カチャカチャと気持ちよくタイピングしたい方は青軸を選ぶといいでしょう。

リニア・タクタイルと比べると、クリッキー軸の音は桁違いにうるさいですねw

家族が寝てる部屋の隣室で使っただけで怒られるレベルです。

【関連記事】ロジクール G913 レビュー:遅延ゼロの極薄ワイヤレスキーボード。でかいけど!

押し心地を確かめたい人は「キーテスター」を買ってみよう

うーん…説明されてもやっぱり実際に使ってみないと分からん!

という方は、色々なキースイッチをお試しできる「キーテスター」という商品を買ってみるのも良いでしょう。

メカニカルキーボードの軸の押し心地を確かめるためだけの商品なので、キーボードを買うより格安で押し心地を確かめられますよ。

マニアックな軸をちょっと紹介

おまけとして、あまりメジャーではないマニアックな軸の中でぼくが注目している軸をご紹介します。

Holy Panda

holy panda
特徴
  • キー荷重:67g
  • タイプ:タクタイル

知る人ぞ知る最高のタクタイル軸といえば、Holy Pandaです。

世界中のキーボードマニアから評価される官能的な打鍵感が特徴で、タイピング音が一番気持ちいい軸にHoly Pandaを挙げるマニアも多いですね。

HolyPandaを採用した既製品のキーボードは存在しないので、軸を単品で購入して自作キーボードに組み込むのが前提になります。上級者向け。

Holy Pandaのタイピング音

なんとも小気味よい独特の打鍵音ですよね。
「何これ…最高やん…」と思い始めたら、あなたもキーボードマニアの入り口に立っているかも…?

Holy Pandaの購入方法

DROPというサイトでたまーに販売されますが、人気なのですぐに売り切れてしまいます。
ぼくもずっと欲しくてやっとこの前買えたんですけど、ポチった次の日にはもう売り切れてました。

買ってみたい人はDROPの商品ページからREQUESTをクリックし、在庫が補充されたらメールが来るように設定しておくといいですよ。
(ぼくが買ったときは110個で137ドルでした。)

まとめ

赤軸
  • 軸とは、メカニカルキーボードのキースイッチのこと。
  • マイナーな軸も合わせると全部で100種類以上。
  • 初心者には赤軸がおすすめ(最もベーシックだから)

世の中にはすべて試すのが不可能なほどたくさんの軸がありますが、まずはこの記事で紹介した軸の中から選んでみると良いでしょう。

また、ひとつの趣味として成立するぐらい奥深い世界でもあるので、慣れてきた人は色々な軸を試してみるのも楽しいですよ!

おすすめのゲーミングキーボードについて知りたい人はこちら。

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この記事へのコメント

コメント一覧 (7件)

  • こんにちは。
    Holy Pandaを検索していたらこのサイトがヒットしました。
    このスイッチにとても興味があるのですが、実際に使用した方
    からお話を聞きたくてコメントしました。
    現在、Purple Zealios v2を使用しているのですが、HPがとても
    気になっています。
    キーの安定感(グラつきとか)スムーズさはいかがでしょうか。
    Purple Zealios v2がHPに比べてグラつきも少ないとのコメントを見て
    購入したのですが、それほどでもありませんでした。
    どちらかというと打鍵音もおとなしい感じです。
    実際に使ってみないと分からないのは承知しているのですが、使用感とか
    教えて頂けたら幸いです。

    • Holy Pandaの良い所は何とも言えない高音のタイピング音と絶妙なタクタイル感だと思いますので、キーのグラつきなどの部品精度が他と比べて優れているわけではないと思います。
      実際グラつきは普通にありますし、一回スイッチを開いてしまうと更にグラつきは増えますw(どのスイッチも一緒ですが)

      グラつきをなくすのが目的でしたら、スイッチを買い換えるよりもスイッチフィルムを使ってガタを無くす工夫をしたり、ハウジングとステムの個体差をマッチングさせたりする地味な作業を突き詰めていくしか無いと思いますね。。。

  • お答え頂きありがとうございます。
    そうなんですね、「石の上をハイヒールで歩く時の音のような」とか
    比喩形容されているのを見かけました。
    まさにそんな感じなのでしょうね。
    グラつきは余りカッチリしすぎていても疲れてしまう気がします。
    ただ、やはりカチャカチャしたキーキャップが反響してしまう音は苦手です。

    タクタイル感は Zealios は初期の段階に強いタクタイル感があり、そのまま
    底まで落ち込む感じがあります。

    ありがとうございました。とても参考になりました。

  • こんにちは。軸の重さを検索していたらこちらにたどり着きました。
    現在、初めてメカニカルキーボード(青軸)を使用していて悩んでいるのですが、
    今までメンブレンやパンタグラフのキーボードを使用していたため特定のキーが
    過剰に反応して連続して入力してしまうのですが使用者の打つ強さを変えない限りは、
    このままなのでしょうか?

    何か対策方法をご存じであれば宜しくお願い致します。

    因みに特定のキーと言うのは『Enter』とテンキー(特に数字)です。

    • 過剰に反応してしまうというのは、1回短く押しただけで2回入力されたようになってしまう現象でしょうか?

      もしそうならそれはチャタリングという不具合で、キーボードが壊れています。
      保証が生きてるならメーカーサポートに連絡してみることをおすすめします!

  • 返信ありがとうございます。
    テンキーは頻繁では無いですがenterはタイピングや長文入力をしていると頻繁に起こります。
    やはり頻度は関係なくチャタリングは起こるものなのでしょうか?

    保証は切れているのでダメもとでメーカーサポートに問い合わせて見ようかなと思います。

    • メカニカルキーボードのチャタリングはキースイッチ(軸)の故障が原因であることが多いです。
      キースイッチを交換すれば直ります。(逆に言えば修理しないと直りません)

      ほっといても直ることはないので買い替えがベストですが、チャタリングをごまかすソフトウェアを入れれば騙し騙し使うことも一応できます。
      検索してみてください!

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