BenQのアイケアモニター「GW2785TC」をレビュー用に提供していただいたので、実際に使ってみた感想をまとめていきます。
GW2785TC 詳細レビュー
GW2785TCは、BenQのなかでも仕事・学習向けのモニターである「GWシリーズ」の新型モデル。
パネル | 27インチ IPSパネル |
解像度 | フルHD(1920×1080) |
リフレッシュレート | 60Hz |
応答速度 | GTG5ms |
表示色 | 1,677万色 |
スピーカー | 2W x2 |
入力端子 | HDMI (v1.4) x1 DisplayPort (1.2) x1 DisplayPort out (MST) x1 USB Type-C x1 ヘッドフォンジャック |
消費電力(最大/標準/エコ) | 110W / 19W / 16W (待機消費電力: 0.3W) |
その他 | フリッカーフリー仕様 USB Type-C 60W給電対応 ブルーライトカット機能 ノイズキャンセリングマイク内蔵 デイジーチェーン対応で4台まで接続可能 輝度自動調整機能(B.I.) |
価格は約34,000円で、ただのフルHDモニターとして考えると割高です。
そのためこのモデルは、
- USB-C 60W給電
- デイジーチェーン対応
- 輝度自動調整機能
- ブルーライト軽減
- スピーカー付き
- マイク付き
といった付加価値の部分に価値を感じる人に向けた豪華仕様のモニターといえるでしょう。
逆に言えば「写りゃ何でも良い」という人からすると余計な機能が満載なので注意。
外観をチェック
3辺ベゼルレスのスタイリッシュなデザイン。
ゲーミングモニターのようなゴテゴテした装飾は付いていないのでオフィスや学校に置くのにピッタリです。
設置してみた様子。
ベゼルが薄いし、BenQロゴの主張もそれほど強くないのでスッキリしてますね!
BenQ ScreenBarとの相性も抜群
BenQ ScreenBar Plusを装着してみた様子。
ScreenBarのツメとギリギリ被らないベゼルの厚みが絶妙。相性抜群!
スタンドの可動域がめちゃくちゃ広い!
付属スタンドの可動域はめちゃくちゃ広いです。
高さ・左右の調整はもちろんピボット(縦置き)にも対応しており、置き方の自由度はすべてのモニターの中でもトップクラスに高いと思います。
その代わり台座の面積がやや大きすぎる感じもしますが、機能は超優秀!
持ち運び用ハンドル付き
背面には持ち運び用のハンドルも付いています。地味に便利。
ボタン類
ボタン類は正面右下に配置。
ボタンの奥に見えるバーコードのような部分はスピーカーになっています。
音質はそれなりですが、Youtube動画で何を言っているかを聞き取る程度なら全く問題なく使えました。
ポート類は少なめ
端子はHDMI 1個、DisplayPort 2個、USB-C 1個。
USB-C接続には対応しているのにUSB-Aのポートが1つも付いていないのはちょっと微妙ですね。
USB-Aポートが付いていればモニターに接続した機器もUSB-Cケーブルを介してPCを接続されるので、例えば「無線マウスのレシーバーをモニターのUSBポートに付けとく」なんて使い方ができるんですよ。
しかしGW2785TCはそれができません。34,000円もする機種なのにw
付属ケーブルが驚きの少なさ
あと付属のケーブルが少ないのも残念ポイント。
映像系のケーブルがUSB-Cケーブルしか付いてこないのはどうなんだ?
ぼくみたいなガジェットオタクは家にいくらでもHDMIケーブルなんて転がってるので別に良いのですが、このモデルってどっちかと言えば一般人(非オタク)向けの商品ですよね。
それなのにWindowsPCとの接続にほぼ必須なHDMI(もしくはDisplayPort)ケーブルが付いてこないとなると、
「えーっとこれどうやってパソコンとつなぐんだ?」
(取説読む)
「…ハァ!?ケーブル別で買わなきゃいけないのかよ!」
ってなると思うんですけど。
たかが数百円のケーブル1本でしょ?なんでそこでケチる!?って思っちゃいました。
パネルの色味をチェック
パネルの色合い(色の均一性)をチェック。
さすがIPSパネルなだけあってオレンジ単色がちゃんと単色に見えます。前後左右にモニターの角度を変えてみてもほぼ色の破綻がありません。
写真だと少し四隅が暗い気もしますが、肉眼だと分からないレベルなので個人的には全く問題ナシです。
MacBook Proの内蔵ディスプレイとの色比較。
うん、かなりMacBookの色合いと近いと思います。
これって実は結構すごいことで、10万近くする高額な4Kモニターとかでさえ、こうやって並べると「Macとは少し色味(雰囲気)が違うな…」と感じることもあります。しかしGW2785TCは肉眼で見てもほぼMacとの色の差を感じません。
色の正確性がどうというよりはMacと接続したときにキレイに見えるように最適化されてる感じがしますね。
使ってみて良いと感じた点
1週間ほどGW2785TCをメインモニターとして使ってみましたので、感じたことを率直に書いていきます。
まず良いと思ったのは下記の2点です。
- 色がキレイ
- 輝度自動調整機能(B.I.)が便利
色が綺麗
色味に関してはデザイナー系の職業の方でもそこそこ満足できるレベルだと思います。
さすが3万円以上する高級フルHDモニターなだけのことはあるという感じ。
特にMacと接続した際の「Appleっぽい発色」の再現度が非常に高いというか、MacbookProの内蔵ディスプレイ色合いを寄せているような印象を受けました。
もちろんRetinaディスプレイと並べて表示すればRetinaのほうが圧倒的に色に深みがあって明暗の表現力は全然違うなと感じるんですが、「色合い」に関しては並べて表示しても違いが分からないほど。
GW2785TCはアイケアモニターというジャンルなのであまり色合いの良さをウリにしてるわけではないみたいですが、ぼくはこの色の良さがすごく気に入りましたね。
輝度自動調整機能(B.I.)が便利
あとGW2785TCには明るさセンサーが搭載されていて、周囲の明るさに応じてモニターの輝度を自動でいい感じに調節してくれる機能(B.I.)が付いてます。
日中の日差しが差し込んでくるようなときは明るめ、夜に間接照明だけで過ごしているようなときは暗め、といった具合に勝手に輝度が変わります。これ地味ですがすごく目に優しくて良いんですよ。
しかも輝度の切り替わりが非常にスムーズなのも良いですね。いつ切り替わったか分からないほど滑らかに明るさが変わるので「勝手にコロコロ明るさが変わって鬱陶しい!」みたいな気持ちが微塵も湧いてきません。
眩しすぎず暗すぎない明るさにふんわりと自動で切り替わってくれるので、慣れると手放せないタイプの機能です。
イマイチな点
1週間使ってみてイマイチだと感じた部分は下記の2点です。
- 内蔵マイクの音質が微妙すぎる
- 付属品だけじゃデイジーチェーンできない
内蔵マイクの音質が微妙すぎる…
GW2785TCはモニターとしてはかなり珍しく「内臓マイク」が搭載されています。しかもノイズキャンセリング機能付き。
公式サイトによると「ビデオ会議が主流になってきたので…」という主旨の文言が書いてあったので、BenQとしてはビデオ会議にこのマイクを使ってほしいということだと思います。
それを踏まえて下記の音質テストを聞いてみてください。
うーん、微妙すぎる。
MacBook Proの内蔵マイクのほうが圧倒的に音質がいいです。マカーは素直にMac内臓のマイク使っとけばOK。
となるとGW2785TCの内蔵マイクはWindowsユーザー向けかな?と思ったんですが、ここで更に残念なお知らせが…。
なんとこのマイク「USB-Cで接続しないと有効にならない」のです。
HDMIやDisplayPortでつなぐとマイクは使用不可。
まぁHDMIやDisplayPortにはマイク音声をやりとりする回路がないので当然っちゃ当然なんですけどね。
ただそうなると「USB-Cポートを搭載したWindowsPC」じゃなきゃ使えないということになりますが、現状だとUSB-Cポートを搭載しているような新しい型のラップトップ(Surface LaptopやThinkpadなど)には高確率でカメラとマイクが標準装備されています。
つまり、
- USB-Cポートが付いているような新しい型のラップトップにはもともと良いマイクが付いてる
- GW2785TCの内蔵マイクが重宝するような古いPCにはUSB-Cポートなんて付いていない
というジレンマが発生してるんですよね。
「じゃあこれはデスクトップPC向けのマイクなんじゃないか?」
と思った方もいるかもしれませんが、デスクトップPCにはそもそもカメラが無いので、ビデオ会議をするためにはウェブカメラを買う必要があります。そしてビデオ会議用のウェブカメラにはマイクも付いてます。アカン終わった…。
「一体誰がこのマイクを求めてるのかマジで分からん」という点も含め、かなり残念な仕様のマイクですね。
付属のケーブルだけじゃデイジーチェーンは不可能
GW2785TCはモニターを数珠つなぎに複数接続できるデイジーチェーンという機能に対応しています。
しかし、このモニターにはUSB-Cポートが1つしか付いていません。
なので2台目以降のモニターをつなぐためにはDisplayPortケーブルを使って数珠つなぎにしていく必要があるんですが、DisplayPortケーブルは付属してきません。
なので仮にGW2785TCを複数台購入してデイジーチェーンしようと思っても、付属品だけじゃデイジーチェーンができません。
えー…。
このモデルがコスパ重視の格安モデルっていうならまだ分かるんですが、どちらかというと色んな機能満載の付加価値モリモリモデルなんですよね。
実際フルHDモニターとしては割高ですし。
もしUSB-Cポートを2つ搭載してくれれば付属のUSB-Cケーブルを使ってデイジーチェーンできるし、それが無理ならせめて短いDisplayPortケーブルを1本つけてくれれば本機を複数買うだけでできるのに。
なんか惜しいです…。
まとめ
- 27インチ IPSパネル フルHDモニター
- リフレッシュレート60Hz
- 目に優しい映りにするための機能が豊富
- 色がキレイ(Macとの親和性が高い発色)
- 輝度自動調整機能が便利
- マイクが色んな意味で微妙
- 映像系のケーブルがUSB-Cしか付いてこない
- 付属品だけじゃデイジーチェーンできない
モニターとしての基本的な素性はすごく良いのに、おまけがイマイチすぎて逆に総合点が低くなっちゃってる印象。
「スピーカーやマイクが付いている」という理由で本機を買うのは正直おすすめしません。色んな意味で残念な出来ですので。
しかしモニターの本質である「映り」に関してはかなり優秀で満足感が高いです。
特にMacと接続したときの色合いがものすごく自然なのはビックリ。
今まで10万円級のモニターも使ってきましたが、これほどMacに近い発色をするモニターは本機が初めてですよ。
この記事へのコメント