湾曲ゲーミングモニター「BENQ MOBIUZ EX2710R」をレビュー用に提供してもらったので、感想をまとめていきます。
当ブログで湾曲モニターをレビューするのはこれが初めて。ずっと試してみたかったんですよ!
届いてから2週間ほど使ってみたんですが、結論から言うと、湾曲モニターって予想以上にトガッた使用感なんだなと思いました。
思ったより一部の用途に特化してる印象なので、購入検討している方は自分の使い方と合っているかを当レビューで確認してから判断したほうがいいかも。
ということで早速レビューしていきます!
EX2710R 筐体レビュー
詳細スペック
パネル | 27インチ VAパネル |
解像度 | WQHD(2560×1440) |
リフレッシュレート | 165Hz |
応答速度 | 1ms(MPRT) |
湾曲 | 1000R |
スピーカー | 2.1ch (2Wx2+5Wウーファー) |
HDR | VESA display HDR 400 |
入力端子 | HDMI 2.0 x2 DisplayPort 1.4 x1 USB3.0×3(Downstream x 2、Upstream x1) |
特徴 | 暗所を明るく補正するBlack eQualizer 明暗を調整するLight Tuner FreeSync™ Premium対応 HDRi技術(ゲームHDRi,シネマHDRi) ブルーライト軽減機能 フリッカーフリー仕様 電子ペーパーモード カラーユニバーサルモード ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)技術 リモコン付き |
いろんな機能が盛りだくさんですが、主に注目すべき点は以下。
- VAパネル
- WQHDで165Hz出せる
- 画面の湾曲率は1000R
- 新機能「Light Tuner」を搭載
- リモコンが付いてくる
本体価格は約57,000円。
同じお金を出せばフルHD 240Hzモニターも十分買えますので、フレームレート命のガチゲーマーが選ぶ機種ではありませんね。
この機種は、もう少しカジュアルに遊んでるユーザーに向けた機種でしょう。
開封の儀
それでは実機を見ていきます!
同梱物
- モニター本体
- スタンド
- リモコン
- HDMIケーブル
- DisplayPortケーブル
- 電源ケーブル・ACアダプター
- 取説類
やった、リモコン付きだ!
1つのモニターにPC、PS4、Switchなど複数の機器を繋ぐ人には、手元でササッと入力切替できるリモコンは神ですからね。
そしてHDMIケーブルとDPケーブルが両方付属するのもポイント高い。最近はどちらか一方しか付けてくれないモニターも多いので太っ腹に感じますw
付属品の内容からしても、やはり「PCとPS4」「PCとSwitch」など複数の機器をつなぐ使い方が想定されてるモニターなんでしょうね。
ただ…ACアダプターのデカさにはちょっと驚きましたw
ACアダプタがでっけえ!
マウスと比べてもこれぐらい。弁当箱ぐらいの大きさはあるぞ…。
公式サイトによるとEX2710Rの消費電力は「最大95W」とのことで、消費電力が特別多いわけでもないです。150W近く食うモニターも普通にあるので。
でもなぜかACアダプタは外付け。うーん…これすごい邪魔だなあ。
モニター本体の質感
正面から見ると落ち着いたデザインですが、モニター背面とスタンドはSFっぽい少し派手なデザイン。
下部のベゼルはちょっと太め。
でもこれには理由があって、このモニターは下部ベゼルの中にスピーカーが仕込まれているんです。
PCモニタにしては珍しい本格的な2.1chスピーカー
EX2710RはtreVoloと呼ばれる正面2+背面1の2.1chスピーカーシステムを搭載。内蔵スピーカーの音質はかなりレベルが高いです。
流石に重低音がズンズン鳴ったりはしませんが、普通にゲームを遊んだり動画を見たりできるレベルの水準。
当ブログでは過去に同じようにtreVolo搭載のBenQモニターをいくつかレビューしていますが、なんか今回のEX2710Rはスピーカーの音質が特に良い気がします。気のせいでしょうか?
まぁスピーカーに数万円掛けてる人からしたらおもちゃレベルかもしれませんが、
「本気でゲームするときはイヤホンするけど、ゆるく遊びたいときはスピーカーも使いたい」
みたいなユーザーはこれでぜんぜん事足りちゃうはず。PCモニターの内蔵スピーカーにしてはかなりレベル高いですね。
1000Rの湾曲はこんな感じ
EX2710Rの曲率は1000R。つまり半径1000mの円と同じような曲がり具合とのことです。
とはいえ画面の曲がり方は円に沿ったような均一な曲がり方ではなくて、なんだか真ん中に棒を当ててぐいっと曲げたような曲がり方だと思いました。
図解するとこんな感じ。
中心部分は湾曲してるんですが、意外にも画面端のほうは真っ直ぐなんですよ。
湾曲モニターを一回も体験したことがなかった筆者としては、ちょっと意外でした。
もっと均一に円のように曲がってるのかと思ってた!
スタンドの奥行きが地味に長い
モニターの最奥端からスタンドの先端までの長さは約25cm。奥行きが地味に長い。
机の奥行きが60cmだとすると、モニターを一番奥に置いてもスタンドの先っちょが机の中央ぐらいまで来ちゃいます。しかしそうなるとモニターの手前に460x400mmのゲーミングマウスパッドが置けません。アチャーこれは痛い!
おそらく湾曲しててバランスが悪いからデカいスタンドじゃないと支えられないんだと思いますが、せめてスタンドの奥行きは20cm以内にしてほしいところ。
しかも筆者はモニター台をデスクに設置していますので、余計に置きづらいw
せめて面で接地してくれる台座だったら多少はみ出ても大丈夫なんですが、EX2710Rは点で接地するタイプの台座なのでわずかに脚がはみ出しすだけで倒れてしまいます。
ということで筆者の環境では純正スタンドを使うのは断念し、モニターアームを使うことにしました。
スタンドを外すとゲーミングゲーミングした印象が和らぐので、見た目的にもこっちのほうが好きだなあ。
縦置きは非対応
スタンドの可動域はこんな感じ。
モニターを回転させることは出来ないので縦置きには非対応です。まぁ当たり前ですが。
湾曲モニターを縦で使いたい変態ユーザーはモニターアームを使いましょう。
カラーモードは全部で9種類
さて、それでは電源を入れて内部機能について見ていきます。
まずプリセットカラーモードは全部で9種類。
それプラス、自分で細かく調整できる「カスタム」モードもあります。多い!
VAパネルはコントラストがパキッとした画質が特徴なので、どのモードにするかによって色味がガラッと変わって面白いですね。
個人的に一番「普通っぽい」のはRPGモードかなと思いましたので、常用するのはRPGにしています。
映画を見るときやグラフィック重視のゲームを遊ぶときはHDR系のモードにしても面白そう。
画面の明暗を調節する新機能「Light Tuner」
BenQのゲーミングモニターには暗所を明るく補正するBlack eQualizerという機能があることは有名ですが、EX2710Rにはそれに加えて「Light Tuner」という新機能が搭載されています。
こんな感じ。
あれ、でも画面の明るさ調整ってBlackeQualizerとカブってね…?と一瞬思ったのですが、どうやらLight Tunerは通常より画面を暗くすることもできるというのがミソみたい。
Black eQualizerは画面を通常より明るくすることしか出来ないので、明るさをマイナス方向に補正できる新機能としてLight Tunerという別名称をつけたようです。
メーカーとしてはRPGのようなカジュアルなゲームにはLight Tunerを、FPSのようなガチ系のゲームにはBlack eQualizerを、という使い分けを想定しているようです。
そのため、Black eQualizerとLight Tunerを両方同時に有効にすることは出来ないようになっていました。RPGモード時にはBlack eQualizerがブラックアウトしてしまい、逆にFPSモード時にはLight Tunerがブラックアウトしてしまいます。
うーん、正直ややこしいw
こんな分かりづらいメニュー構成にするぐらいなら「Black eQualizer+」みたいにしてBlack eQualizerをマイナス方向にも弄れるようにすれば良かっただけでは?と思うんですが。新機能!ってのが欲しかったんですかね。
とはいえ確かに「雪原ステージが白すぎて眩しい…」みたいな状況を改善できる機能は何気に初なのかも。明るい箇所を暗くできるのは一定の需要があるのかもしれません。
湾曲ゲーミングモニターって正直どうなの?
さて、ここからはEX2710Rを2週間ほどじっくり試してみた感想をまとめていきます。
ぼくにとっては今回が初めての湾曲モニターだったので、「画面が湾曲しているってこんな感じなのか!」と驚くことがたくさんありました。
具体的に印象に残ったのは以下の3点。
すべてのゲームがHUDっぽいUIになる
「自分の視界に情報が投影されてる風UI」のゲームってあるじゃないですか。UIがちょっと斜めに表示されてる感じの。HALOとかTitanfallとかDestinyとか。こんなやつ↓↓
湾曲モニターを使うと、全部のゲームがこういうHUDっぽいUIになります。
例えばこれ。
Apex LegendsのUIは平面的なので、名前や武器の情報は普通に水平に表示されます。でも湾曲モニターを通すとUIが斜めに表示されているように見えるんです。これは面白い!
Krunkerみたいな簡素なグラフィックだと分かりやすいかも。すごく…HUDっぽいです…。
FF14はファンタジー系の世界観なのでもちろんUIは平面的。でも湾曲モニターを通すとなんかSFっぽい世界観が足されたような印象になりますね。
画面端に置いてるUIが少しだけ眼球と近くなるので、チラッと一瞬だけ見たときに目のピントが合いやすくなったようにも感じます。実用性も多少はある。
逆にTitanfall 2みたいなもともとHUDっぽいUIのゲームだと「変わった感」はあまりないですが。
とまあこんな感じで、湾曲モニターを通すと(良くも悪くも)すべてのゲームがHUDっぽくなるんです。
よく湾曲モニターの使用感を表すとき「没入感」って言葉が使われますが、この”HUDっぽい感じ”が没入感ってこと?
直線なのか曲線なのか判別できない
ただし、普段遣いしようと思ったら湾曲してることの悪影響もかなり感じました。
例えば上の写真はLightroomで写真編集をしている場面です。
写真が斜めに傾いていると気持ち悪いので編集で水平に補正したりするんですが、湾曲モニターだと写真の傾きや歪みを目で見て判別することが出来ません。
写真自体が歪んでるのか、写真は歪んでないけど画面の湾曲によって歪んで見えてるのか、パッと見で分からないんです。いやーこれマジで困るw
ゲームや動画を楽しむだけなら湾曲モニターは面白いと思うんですが、コンテンツを制作する側の人間は平面のモニターじゃないと仕事にならないですね。
慣れるまで3D酔いする
ぼくは幼少期からひたすらゲームをして育った人間なので3D酔いなんて今更しません。でも湾曲モニターは最初めちゃくちゃ酔いました。オエエエ…。
そもそも3D酔いや車酔いというのは「脳で想像したビジョンと実際のビジョンにズレがあり、体が混乱する」のが原因(のひとつ)と言われています。車の免許を取った途端に車酔いしなくなったりするのは、車の挙動を想像できるようになるからですね。
なので今回ぼくが酔ってしまったのは「湾曲モニターの表示を想像できてなかった」からじゃないかと思います。
数時間使っているうちに慣れてきましたが、使い始めはベテランゲーマーでも普通に3D酔いすると覚悟しておいたほうがよさそうです。
結論:用途はすごく限定的だと思う
湾曲モニターをひとしきり使ってみた結論。これ、用途によって合う合わないが激しいです。
自キャラが画面中央に居るゲーム(FPSやフォトナ、GTA5、FF14など)は湾曲モニターに向いてます。UIがHUDっぽくなって楽しいとか、画面端のUIが見やすくなるとか、湾曲していることがメリットに感じられるでしょう。
ただし自キャラが画面中央に居ないゲーム(格ゲー、街作りゲー、ストラテジー、2D横スクロールゲーなど)は湾曲モニターでプレイするとすごく気持ち悪いです…。水平感覚(直線感覚?)が狂うので、画面が湾曲していることが悪影響にしか感じられなくなります。
また、ゲーム以外の作業(写真・動画編集、絵かき、音楽制作、その他のPC仕事)においても湾曲してて得することは特にありません。
結論、ぼくにとって湾曲モニターは完全に「FPS特化型モニター」に感じられました。
人によって感想は違うかもしれませんが、少なくとも僕はこのモニター1台で日常のPC作業をすべてこなすのは厳しいです。完全にゲーム専用機ですね。
まとめ
- FPSをやるならアリ
- FPS以外のゲームは相性が激しい?
- 作業には超微妙
WQHD(2560×1440)で165Hz、リモコン付き。ゲーミングモニターとしては凄くバランスの良いスペックだと思うんですが、良くも悪くも画面が湾曲しているのがEX2710Rの特徴。
事前の予想ではもう少し湾曲している事が好影響に感じられると思っていましたが、思ったよりゲームに特化したトガッた使用感なんだなあというのが正直な感想。
快適に使えるのはFPS系の「自キャラが画面中央に居るゲーム」に限定されるかな、という印象ですね。
ぼくのようにゲーム以外の作業をする時間も長いユーザーは、EX2710Rと同時発売されているEX2710Qのほうがオススメかもしれません。
あっちは画面が平らでIPSパネルを搭載。万能タイプのモニターですね。
この記事へのコメント
コメント一覧 (2件)
買おうと思ってたモニターの紹介記事でした。
日本語での紹介記事がなかなか見つからなかったので助かります。
とても参考になりました!
参考になってよかったです!