ぼくはレビューブロガーという仕事柄、カメラで撮影した写真をPCに取り込んでRAW現像するという作業を日常的に行っています。
(RAW現像というのは、要するに撮った写真の色や明るさを編集してJPEG画像として書き出す作業のこと。)
ほぼ毎日のようにやっているRAW現像なんですが、ぶっちゃけこれすごく「作業感」が強い作業なんですよね…
好きでやっているとは言え、1日に何十枚〜何百枚という写真に(ホワイトバランス整えて、露出を調整して、ハイライトを下げてシャドウを上げて、LUTを当てて…etc)という作業を繰り返すのは正直しんどいと思う日もあります。
というかパラメータを微調整するために手と目に集中する必要があるから単純に疲れますw
そんな事を思っていたときに知ったのが、今回レビューするTourBox NEOです。
俗に言う「左手デバイス」ってやつで、要はPhotoshop、Illustrator、Lightroomなどのアプリを操作することに特化したコントローラーみたいなもの。
これを使えばぼくが日常的に行っている「Capture OneでのRAW現像」という作業が少し楽になるのではないか?と思ったので、今回レビューさせていただくことになりました。
届いてから数週間使いまくってみたので、当記事はTourBox NEOを使って実際にRAW現像をガンガンしまくってみた感想を率直に書いていきます。
TourBox NEOのスペック・外観をチェック
TourBox NEOは、画像・動画編集アプリを快適に操作するために作られた左手用のデバイスです。
ボタンやノブに「ブラシサイズの変更」とか「動画シーケンスの前後」などの機能を割り当てて画像・動画編集作業を効率化しましょうという製品。
要はクリエイター向けに最適化されたコントローラーですね。
本体寸法 | 116 X 101 X 44mm |
重さ | 370g |
対応OS | Windows 7 以上 MacOS 10.10 以上 |
入力端子 | TourBox側:USB-C PC側:USB-A |
ボタン数 | 押しボタン x11、ノブ x1、ダイヤル x1、スクロール x1 |
ソフトウェア | TourBoxコンソール |
スペック情報は上記の通り。
Win・MacどちらのOSでも使えます。
本体の質感
ズボンのポケットにはギリギリ入らないかな〜程度のサイズ感。
机の上に常設しておいても邪魔にはなりません。
そのわりには重さ370gと、缶コーヒー以上のズッシリ感があります。
操作していてだんだん位置がズレてくる…なんてことも無いですね。
表面の質感は全体的にラバーコーティングのようなマット系の質感。
手汗をかいてもベタベタしないので長時間作業しても快適に使える触り心地です。
ただ、顔の脂とかリップクリームとかハンドクリームとか、油系のものが付着するとテカテカと汚れが目立ちます。
裏面にはボタン類は特に何もありませんが、滑り止め用のゴム足が付いています。
とまあ、本体の物理的な質感はこんな感じ。
ですが正直この手のデバイスは制御するソフトウェアの出来が使い勝手に直結するので、「ソフトウェアが本体」みたいなところがありますよね。
ドライバーソフト「TourBoxコンソール」の使い勝手
ソフトのUIはこんな感じ。
右側にボタンのキー割り当て、左側に「どのアプリでどの設定を使うか」のプリセット選択をするだけのシンプルな画面。
日本語が不自然な箇所もなく、ヘルプを参照せずとも見様見真似で十分使いこなせました。
ボタン名のところにマウスカーソルを持っていくと、左下に「どれがどのボタンなのか」がハイライト表示されます。
直感的に操作できて非常に分かりやすいですね。
左上のプリセット選択画面では、どのアプリでどのプリセットを使うかを選択します。
「プリセットをオートスウィッチ」という機能をオンにしておくと、実際に各アプリを起動したときに自動でプリセットが切り替わってくれるようになります。
Photoshop→Google Chrome→Photoshop→Capture One…と頻繁にアプリを切り替えても瞬時にプリセットが変更されます。
ソフトの動作がモタついてイライラする…と感じたことは数週間使っていて1度もないです。優秀。
ただしその代わり、メモリは結構食うかもしれません。
まぁこれぐらいは仕方ないかなー。
TourBox NEOの良いところ
それでは実際に数週間使ってみた感想を書いていきます。
まずは良いと思った部分から。
良いところ①:ボタンを押した感覚が明瞭
まず良いと思ったのは、ボタンの押し心地が明瞭であるという点。
マウスのクリックボタンのような「カチカチ」という感覚です。
一般的にマウスに使われているのと同じようなマイクロスイッチを使っていると思われます。
こういうデバイスって安い製品だとテレビのリモコンのような「ぶにゅぶにゅ」した押し心地のボタンも多いのですが、TourBox NEOのボタンは高級な?押し心地だと感じました。
明確にカチッと言う音がするので「押したと思ったのに押せてなかった」みたいな事はまず起きないでしょう。
ただし「回す系」のノブ・ダイアル・スクロールに関してはちょっとスルスル回り過ぎかな、とも思います。
ほとんど抵抗もなくクルクル〜っと回ってしまうので微調整が難しいです。
欲を言えばオーディオ機器のツマミのように多少の抵抗感がある「上質な回し心地」だったら良かったな、とは思いました。
良いところ②:ボタンの配置センス(形や数)が良い
あと、単純にボタン配置の仕方などの設計がうまいと思いました。
すべてのボタンが違う形をしているので、どのボタンにどの機能を割り当てたかを覚えやすいんですよね。
これがもし同じ形のボタンが□□□□□□□□□みたいに整列しているデザインだったら、恐らくぼくは使いこなせなかったと思います。
ボタンの名称も1・2、などではなくトールやショートという個別の名称を用いているのも分かりやすいですね。
実際、使い始めのうちはC1とC2を見て「どっちがC1だ?」と瞬時に判断できなかったので、余計にそう感じましたw
良いところ③:複雑なショートカットキーを覚えなくて良くなった
あとはやはりTourBox NEOを導入した一番の理由、ショートカット機能。
ぼくはPhotoshopでよく「Web用に保存(option + shift + command + S)」という操作を行うのですが、こういうショートカットキーってしばらく使わないとす〜ぐ忘れるんですよね。
ctrl shift optionだっけ?shift option commandだっけ?みたいな。
しかも普段からWinとMacを兼用してるもんだから、装飾キーが頭の中でごっちゃになりますし。
そういう場面が来ると、TourBox NEOを導入してよかったなぁと感じます。
複雑なショートカットキーもボタンを1つ押すだけでよくなるので、「あれ?Shift+Altだっけ?Ctrl+Altだっけ?」みたいな無駄な時間が発生しなくなりました。
「どこにどの機能を割り当てたか」を覚えればいいだけなので、めちゃくちゃ作業効率が上がります。
良いところ④:本来ショートカットキーが存在しない操作もショートカットできる
また、TourBoxコンソールには「ビルトイン」という機能があるのですが、これも相当便利。
ビルトインというのは、TourBoxのボタンに「キーボードのキー入力」ではなく「アプリの機能そのもの」を割り当てるという機能です。
つまり、本来キーボードショートカットが割り当てられていない機能もショートカット操作できるというわけです。
試しにLightroom用のビルトイン設定を見てみますと、このようにほとんどすべての機能(Lightroomアプリ内でキーボードショートカットが割り当てられていないような操作も含め)をTourBoxのボタンに割り当てることができるみたいでした。
Lightroomはキーボードショートカットのキー割り当てをデフォルトから変える事ができませんから、「このボタンを押したらこの機能!」っての自由に決められるのはTourBox NEOだけの特権ですね。これすごい便利。
まぁそれって逆に言えばLightroomがキーボードじゃ満足に操作できない不便なアプリってことなんですが、それはまた別の話…
(Capture Oneはアプリ内でキーボードショートカットを自由に変えられるしショートカットできる操作も豊富なので、そもそもビルトイン機能が必要ない)
期待はずれだったところ
では逆に「ここはイマイチだったな」という点について。
ケーブルがUSB-C to USB-Aだけしか同梱されてなかった
Windowsユーザの方にはあんまり共感されないかもしれませんが、付属のケーブルが「USB-C to USB-A」だけというのは少々もったいない気がしました。
なぜなら最近のMacbookにはUSB-Cポートしか付いてないからです。
TourBox NEOをMacbookにつなごうと思ったら、USB-Aを接続するためのUSBハブのような物を間に挟む必要があります。
(もしくはThunderbold3ケーブルで接続した外部ディスプレイのUSBポートにつなぐとか)
デスク据え置きで使用するならそれでもいいんですが、例えば写真・動画撮影のロケや旅先など、自宅以外の場所で作業しなきゃいけない場面ではMacbookにUSB-Cで直差し出来たほうがどう考えても便利でしょう。
クリエイターはMacユーザーも多いでしょうから、USB-C接続用のケーブルを付属してくれたら嬉しかったな〜とは思います。
現状だとわざわざUSB-C to USB-Cのケーブルを自分で用意しないとMacに直差しはできません。
まとめ
- Adobeアプリや音楽制作の作業を効率化するための作業用コントローラー
- 11個のボタン、3個のツマミに好きなキーボードショートカットを割り当てられる
- 設定アプリ「TourBoxコンソール」も直感的にわかりやすいUIで使いやすい
- キーの押し心地が明瞭(押せたかどうか分かりやすい)
- ボタン配置のセンスが良く、使いやすい
- 複雑なショートカットキーを覚える必要がなくなる
- 本来ショートカットキーが存在しない操作がショートカットできるようになる「ビルトイン」機能が便利
- Macユーザーが多いであろうクリエイティブ用途向けの商品なのに「USB-C to USB-C」ケーブルが付属してないこと
設定方法が分かりやすいので”練習期間”がほとんど必要なく、買ってすぐ戦力になるコントローラーだと思いました。
まあガジェットとしての物理的な質感を考えたら2万円はちょっと高いかな…という気もしますけど、とはいえ一度この快適さを知ってしまった身からすると「割高だな」という気は全くしません。来世でも使いたいレベル。
毎日のようにPCで創作活動をする人なら、日々の作業が2割くらい効率アップすると考えたら十分元は取れるのではないでしょうか。
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