ロジクールの大定番ゲーミングマウスPRO X SUPERLIGHTの後継モデル「PRO X SUPERLIGHT 2」をレビュー用に提供してもらったので、使用感をチェックしていきます。
見た目は旧SUPERLIGHTからほとんど変わってませんが、
- ポーリングレート2000Hzに対応した
- クリックボタンが光学式スイッチに変更された
- DPIを5刻みで調整できるようになった(前は50刻み)
などの変更により、正直、使用感は旧型とかなり違います。
良い変更もあれば素直に喜べないと感じる変更もあったので、検討している人はポチる前に色々なレビューを見て回ることを強くおすすめします!
デザイン・握り心地
- 見た目
- 中身
の順番にレビューしていきますね。
まずは外観デザインを詳しく見ていきます!
外観デザイン
付属品
- レシーバー
- ソール付きの裏蓋
- 充電ケーブル
- マウスグリップテープ
- 取説
替えのマウスソールは付属品に含まれていませんでした。
個人的な意見ですが、白いSUPERLIGHTは本当にかっこいいですね。
マットな塗装で高級感がありますし、銀色のGロゴもシンプルでかっこいいです。
また、ケーブルがUSB-Cに変更されたおかげでポート周りのデザインが以前よりスッキリしているのもいいですね。
ちなみに、SUPERLIGHT 1のときにもあった「右サイドの妙な凹凸」は今回もあります。
なんかデザイン的に不自然な感じに見えるけど、よく見るとサイドボタンがある左側もボタン下あたりが同じように隆起しているので、これはわざとなんですかね。
この凹凸をスムージングしちゃうと握り心地が悪くなるとか?凹凸なしバージョンを試してみみたい。
あ、ちなみにソールの形状は微妙に変更されていました。
つまりSUPERLIGHT 1用のソールは使えません。注意。
参考までに、上がSUPERLIGHT 1の裏面です。マウス後方C字状のソールの形がちょっと変わってます。CがUになった感じですね。
重さは実測で60g。公称通り。
ワイヤレスレシーバーはSL1と比べてやや大きくなっていました。
ポーリングレート2000Hzに対応した影響かな?
ケーブルは普通の樹脂被覆タイプですが、端子がMicroUSBからUSB-Cに変わりました。
硬めで重量もあるため、充電しながらマウスを使うのには向きません。
レシーバーを接続したり夜中にマウスを充電するためのケーブルという印象ですね。
握り心地の個人的評価
G PRO X SUPERLIGHTの握り心地を一言で表現するなら「どんな持ち方でも80点の快適性で持てる」ですかね。
卵型でクセの少ない形状のため、
- かぶせ持ち:ベストとは思わないが、ふつうに快適。
- つかみ持ち:ベストとは思わないが、ふつうに快適。
- つまみ持ち:ベストとは思わないが、ふつうに快適。
という感想がしっくり来るような握り心地です。
まぁ裏を返せば、どんな持ち方にもシンデレラフィットはしないってことでもありますが、全方位に80点の快適性を提供してくれるSUPERLIGHTの形状って、使えば使うほどマジで絶妙なんですよね。
筆者は当ブログの活動を通して何十個もゲーミングマウスを試してきましたが、いろんなゲーミングマウスを買えば買うほど、「…なんか結局SUPERLIGHTでよくね?」と思ってしまう魅力があります。
一時的に「これはSUPERLIGHT超えた!」と思うマウスと出会えたと思っても、何週間か使っているうちに不満が見えてきて、気づいたらSUPERLIGHTに戻ってる…という流れを何度経験したことか。
注意点があるとすれば、手が小さい人にとっては少し大きく感じる可能性がある点でしょうか。SNS上でたまに「デカくて合わない」という声を目にします。
パフォーマンス・性能
センサー性能
搭載されるセンサーは「HERO 2」という名称。
SUPERLIGHT 1に搭載されていたHEROセンサーとスペックを比較すると以下の通り。
HERO | HERO2 | |
---|---|---|
解像度 | 100~25,600dpi | 100~32,000dpi |
最大加速 | >40 G | >40 G |
最大速度 | 400 IPS | 500 IPS |
最大DPIと最大速度が高くなっていますが、人類が体感できる数値なのかは微妙なところです。
SUPERLIGHT 1の時点で何の違和感もない操作性だったので、「たぶん良くなってるんだろう」以外の感想はありませんw
ポーリングレートが2000Hzに対応
今回のSUPERLIGHT 2は、ポーリングレート2000Hzに対応しています。
言い換えると、2000Hzにしかアップグレードしませんでした。
市場にはすでに4000Hzや8000Hzといった超高ポーリングレートに対応したマウスも存在しますが、そのような超高ポーリングレートのマウスの口コミを調査すると、ポーリングレートが高いとPCの動きが重くなる、ポーリングレートを高くするとゲームがバグるといった報告が散見されます。
つまり現状、4000~8000Hzといった超高ポーリングレートは「ベータ版」のようなものであり、ロジクール的には時期尚早という判断なのでしょうね。
ちなみにポーリングレートとは「マウスがPCに信号を送る頻度」のことで、2000Hzは1秒間に2000回マウスの位置情報をPCに伝えている(0.5msごとに送信している)という意味になります。
理論上はポーリングレートを上げるほどマウスの動きは正確になり、遅延も減っていくはずです。体感できるかは別として。
DPIを5刻みで変更できるように
あと細かい部分ですが、DPIの最小変更可能単位が「5」になりました。
今までは50ずつしかDPIを上げ下げできなかったので、かなり細かくDPIを調整できるようになりましたね。
リフトオフディスタンスを調整できるように
「マウスをどれぐらい持ち上げたらセンサーの読み取りをオフにするか」の設定をリフトオフディスタンスと言いますが、今回のSUPERLIGHT 2はその距離を調整できます。
といっても他社のゲーミングマウスでは何年も前からリフトオフディスタンス調整なんて当たり前に実装されてる機能なので、むしろ今まで出来なかったのなんでなん?って感じですが。
ようやくですね。
他のマウスの「実質DPI」をコピーできるように
今回新たに「Heroセンサーキャリブレーション」という新機能が実装されました。これは他社では見かけない面白い新要素ですね!
ゲーミングマウスを何台も所有している人なら薄々気づいてると思いますが、同じ800DPIに設定していてもマウスによって実際のDPIは微妙に違いますよね。
「名目上は800DPIだけど実際の操作感は780DPIぐらい」みたいなイメージです。
Heroセンサーキャリブレーションは、この「名目DPIと実質DPIのズレ」を補正するための機能です。
この機能を使うと、例えば「ZOWIEマウスの800DPIを再現する」みたいなことが出来ます。
試しにやってみましょう。
まず、PCにマウスを2つ接続します。(DPIをコピーしたいマウスとSUPERLIGHT2)
今回はZOWIE S2でテストしてみます。
指示に従って、マウスを並べて同時につかみながら横に動かします。(以下参照)
マウスを動かし続けると、キャリブレーションが完了して以下の画面が出ます。
んーと翻訳が微妙に分かりにくいですが、おそらく…
- ZOWIE S2の800DPIは、SUPERLIGHT2で言うところの775DPIの挙動だったよ。
- だからSUPERLIGHT2のDPIを3.23%上げておいたよ。
- これでZOWIE S2と同じ操作感になったはずだよ。
という意味だと思います。
まぁもちろんマウスを完璧に水平方向に動かせる人はいませんし、最小単位5DPIでの補正なので、完璧な調整を期待するのはお門違いです。(何回かやると違う結果になったりする)
とはいえ、機能としてはかなり面白いですね!
「名目DPIと実質DPIの乖離」が気になっちゃうぐらいのマウスマニアは、一度試してみると面白いでしょう。
スイッチ性能
クリックボタンは「LIGHTFORCEハイブリッドスイッチ」という、光学式とメカニカル式のハイブリッドが採用されているとのこと。
なんだかよく分からないので、公式サイトの説明を引用します。
ロジクール独自のハイブリッド オプティカル-メカニカル スイッチ テクノロジーは、オプティカル スイッチの速度と信頼性に、従来のガルバニックまたはメカニカル マイクロスイッチの十分なクリック感触を提供します。電池寿命に影響を与えることなく、プロが必要とするパフォーマンスを享受できます。
https://gaming.logicool.co.jp/ja-jp/products/gaming-mice/pro-x2-superlight-wireless-mouse.910-006635.html
これはつまり「光学式スイッチだけど、押し心地はなるべくメカニカルっぽくしたよ」って事でいいんでしょうか?要するに光学式スイッチってことですよね?
光学式スイッチだとすると、
- 構造的にチャタリングが発生しない
- クリック遅延がメカニカル式よりも少ない
といったメリットがあるため、スペックは間違いなく先代よりも向上しています。
先代SUPERLIGHTでチャタリングに悩まされていた人は、買い替える理由になりますね。
バッテリー性能
バッテリー寿命は公称95時間。
先代SUPERLIGHT 1は公称70時間だったので、25時間ほど稼働時間が長くなっているようです。
ボタンの質感(動画あり)
今回のSUPERLIGHT 2はクリックボタンの仕様が大きく変わっています。
使用感に大きく関わる部分なので、新旧SUPERLIGHTのクリック音を動画で比較してみました。
この動画を踏まえた上で、各ボタンについての感想をレビューしていきます。
メインクリックボタンの押し心地
公式サイトの文言では「光学式スイッチだけどメカニカル式のような押し心地を追求したよ」的なことが書いてありましたが、個人的にはメカニカル式には遠く及ばないクリック感に感じました。
まず、とにかく音がうるさいです。
先日にG502Xをレビューしたときにも感じましたが、ロジクールの光学式スイッチは跳ね返りがめちゃくちゃ強いため、クリック音がとにかくうるさいです。
それに押し心地もかなり硬いです。
セミオート武器を高速タップ撃ちする場面なんかだと、クリックの硬さと跳ね返りの強さが相まって「あ~~~AIMがブレる~~~~」と思わず苦笑いしてしまいます。
硬いクリック感が好きな人もいるとは思いますが、筆者にはなかなか使いこなせない硬さです。。。
光学式スイッチのほうが性能は高いので悩ましいところですが、硬いクリック感が苦手な人は旧SUPERLIGHTをそのまま継続使用したほうが良いだろうと思ってしまいました。
かなり正直な感想です…。
追記:
1週間ほど使っていたら新品時よりクリックが柔らかくなってきました。
経年変化でクリック感が少しマイルドになるようです。
SNS上でも同様の意見が散見されるため、個体差ではなくLIGHTFORCEハイブリッドスイッチの特性なのかもしれません。
ただ、頻繁に押す左クリックが柔らかくなってきたので、右クリックとの押し心地の差が激しくなってしまいました。
ホイールの質感
ホイールのノッチ数は同じだと思いますが、回したときの音は新型のほうが静かです。まぁでもどっちでもいいレベルの微差です。
が、ホイールクリックのスイッチは明らかに質感が変わってますね。
動画でも分かると思いますが、ホイールクリックの「コクコクッ」という音がより静かになっていました。
サイドボタンの質感
使われているスイッチは変更なしだと思いますが、新型のほうがサイドボタン自体がやや外に出っ張ってます。
旧SUPERLIGHTはサイドボタンを押し込んだとき筐体内にボタンが埋没するほど深く押下されるのですが、新型はツライチで止まるようになっていますね。(以下参照)
正直言うと、Xでこの点を指摘しているポストを見てはじめて気づきました。
それぐらい些細な変更ですし、公式サイトで言及されているわけでもありません。
しかしこの事実を知った上で気にして比べてみると、確かに新型のサイドボタンのほうが押しやすいからすごい。
こんな細かいところまで考えているのかと、設計陣に対する尊敬の念が生まれました…。
分解してSL1とSL2の中身を比較してみた
分解して中身の作りを新旧比較してみました。
マニアックな内容なので見たい人だけタップして見てください。
旧SUPERLIGHTと新型SUPERLIGHT2の分解画像
まずは開いてみます。
基板の面積が小さくなっています。
あとシェル側と底側をつなぐフラットケーブルがオレンジっぽいのから黒っぽいのに変更されており、ケーブルの通り道も変わってますね。
バッテリーのコネクタ位置も最適化されています。
とりあえず外せるネジを外してバラバラにした状態。
マウスの構造自体はほぼ変わってませんが、各パーツの面積が更に小さくなっていますね。
特にこの骨組みっぽいパーツの最適化具合は萌えポイントですね~。
ありとあらゆる手を尽くして少しでも面積を減らそうとしてて興奮します。
ちなみにO2FP-FH1(LOGI)と書いてあるクリックボタンのスイッチ、光源を照射する部分もスイッチ内に一体化しているという構造でした。
以前分解してみたRazerの光学式スイッチなんかは、スイッチ側はあくまでシャッターとしての機能しかなく、基板側に光を照射する別パーツが実装されていました。その光をシャッターで通せんぼするような仕組みで、スイッチをカチカチするとシャッターの開閉を目視できました。
しかしこのO2FP-FH1(LOGI)は光源もスイッチ内部にあるようです。外からシャッターの開閉は見えません。
基盤の裏を見るとメカニカルスイッチよりハンダしてある箇所が多いので、スイッチ後方に光源があるんでしょう。
確かにこっちのほうが光源とシャッターを別々に実装するより楽だし、今後はこのタイプが主流になるんですかね~。
以上、分解してみたコーナーでした。
結論:購入する価値はある?
実際に使ってみた感想まとめ
良かった点
- ポーリングレート2000Hzに対応
- 微妙に軽くなった
- サイドボタンの押し心地がよくなった
- 光学スイッチになりチャタリングが起きなくなった(はず)
- リフトオフディスタンスが調整できるようになった
- DPIキャリブレーションで他のマウスの使用感をコピーできる
- 端子がUSB-Cになった
不満点
- クリックボタンが硬い・跳ね返りの衝撃が強い
SUPERLIGHT2の一番のトピックは「光学式スイッチの採用」だと思います。
これによってクリック感が「良くも悪くも」大きく変わりました。
次点で「ポーリングレート2000Hz」も使用感に関わる大きな変更点です。
マウスの情報をPCに送信する回数が1000Hzと比べて2倍になるわけなので、人によってはマウスの動きがヌルヌル動くように感じられたり、遅延が減ったのを体感できるかもしれません。
筆者はValorantで「ローインプットバッファ」という設定をオンにしたときだけ如実にマウスがヌルヌル動くようになったのを感じましたね。
逆に言えばその他のゲームではまったく分かりませんでしたけどw
どんな人におすすめ?
- 硬いクリック感を好意的に受け止められる人
旧SUPERLIGHTと比べるとクリックボタンがめちゃくちゃ硬いです。そこだけは本当に注意点。
人によっては旧SUPERLIGHTをそのまま継続使用したほうが満足度が高い可能性があります。
現状の光学式マイクロスイッチは「押し心地」にまだまだ課題があり、光学式スイッチを搭載したマウスは他社も含めてまだ好きになれないというのが筆者の2023年10月時点での正直な感想ですね。
質感をどう思うかは別として「性能」として見た場合は新型SUPERLIGHT2のほうが明らかに良いので、
- 光学式スイッチの押し心地、別に何の問題もないが?
- むしろ硬いほうが好きだが?
という人は、ぜひ買い替えてみてください。
マニアックな視点だと、Heroセンサーキャリブレーションを逆手に取って「他のマウスの実質DPIを調べる検証ツール」としても使えそうです。
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