ラピッドトリガー対応のゲーマー向けキーボード「LAMZU Atlantis Pro Keyboard」をレビュー用に提供してもらったので、使用感をチェックしていきます!
スペック表
LAMZU公式商品ページ:
https://lamzu.com/products/atlantisprokeyboard
サイズ | 318x109x36mm |
---|---|
重さ | 1250g |
キーレイアウト | US 68キー(65%配列) |
キーキャップ | シリコンラバーとABSのコンビ |
キースイッチ | 磁気スイッチ |
マウントスタイル | トレイマウント |
スタビライザー | プレートマウントタイプ(ルブ済) |
ボディー素材 | CNCアルミニウム |
PCB | 防滴加工 |
ポーリングレート | 1000Hz |
ケーブル | 1.8mm USB-C to USB-A(脱着可能) |
矢印キーが独立している65%配列なので、Wooting等の60%配列よりは普段遣いが快適な仕様です。
また、大きな特徴としてはキーキャップがシリコンラバー素材になっている点。
WASDキー用のラバーキーキャップがおまけで付属するキーボードはたまにありますが、はじめからすべてのキーがシリコンラバーのキーキャップを装着しているキーボードはかなり珍しいですね。
外観をチェック
それでは実機を開封レビューしていきます。
開封の儀
LAMZUのデバイスは初体験なのですが、箱の時点でクソカッコイイ。
なんだこの開け方。
内容物一覧
内容物
- キーボード本体
- キャリングバッグ
- ケーブル(USB-C to USB-A)
- キースイッチ x2
- キーキャップ(QWERASDFの白いバージョン)
- スペースバーの隙間埋め?
- キープラー
- 取説
付属品はかなり豪華。
キャリングバッグはこのようにキーボードを入れて持ち運ぶことができる袋。
持ち運ぶ人いるの…?と思わなくもないですが、使わないときに仕舞っておくのにも使えるのでヨシ。
筐体デザイン
デザインはこんな感じ。
アルミ削り出し筐体の背面にデザインプレートをあしらっている、いわゆる高級カスタムキーボード然としたデザインです。
重さも1.25kgと、65%サイズの小型キーボードにしてはズシッと重め。
この質感、ラピッドトリガーとか抜きにして単純にアルミ削り出しの高級キーボードと考えても$159.99は安い気がします。
実際KBDfansやNovelKeysといったカスタムキーボードショップでは、すっごい真四角でベーシックな見た目のアルミ削り出しキーボード入門機が$160とかで、デザインが凝ったものは$200~$500ぐらいが相場。
背面にこのようなデザインプレートがあしらわれているキーボードは$200超えが当たり前なので、Atlantis Pro Keyboardはカスタムキーボード界隈の相場感で考えると「めちゃ安い」と感じます。
うーん、量産効果ってすごい(しみじみ)
キーキャップ
そしてこのキーボード、なんといっても「シリコンラバーキーキャップ」を装着しているのが大きな特徴。
構造としてはABS樹脂の上からシリコンラバーを被せている感じ。白い部分がABSで、半透明な部分がシリコンラバー。
打鍵するときに指が触れる表面の部分は下にABSがあるので硬いですが、半透明の部分しかない下の方はプニっと柔らかいのが面白い。
触り心地はサラサラスベスベ系で、汗をかいても快適。
滑り止め用のゴムっぽいシリコンラバーキーキャップはよく見かけますが、このようなサラサラすべすべな触り心地のシリコンラバーキーキャップは初めて触りました。
個人的にはかなり好きな触り心地です。
汗でベタベタしてこないので潔癖っぽい人にも向いてると思います。
キースイッチ
LAMZU公式HPに記載がないので憶測ですが、RAESHAという刻印が見えたのでおそらく「RAESHA White Magnetic Switch」という軸かと。
https://www.rx-raesha.com/essay/79
磁気スイッチなので裏面に接点のピンがなく、ただ磁石が上下にストロークするだけの構造。
この磁石のストロークを基板側のセンサーで読み取ることで押下を検知するのが磁気スイッチです。
つまり重要なのはスイッチよりも基板ですよね。磁気スイッチってチャタリング起きるのかな。もしチャタリング起きるとしたらスイッチ交換で治るのかな。基板交換になるのかな。そのへんは軽く調べた程度じゃ明確には分からなかった。教えてエロい人。
ボックスタイプのステム形状になっており、キーのグラつきは少なめ。
キー荷重は、RAESHAの公式情報だとイニシャル30g、エンド60gとのこと。
つまり押し始めは30gで、底に押し付けるにつれて60gまで重くなるイメージです。
CHERRY赤軸よりは重くて、黒軸よりはちょい軽い感じの打鍵感でした。
スタビライザーはルブ済み
箱出し状態でスタビライザーには潤滑剤が塗布されていました。
なのでSpace、Enterといった大型キーを押したときのビビリ音がなく、全キー快適な押し心地です。
このあたりも高級カスタムキーボード然とした処理。
最近のキーボードは本当にいいな。
謎のシリコンパーツ
あと、付属品にこのような謎のシリコンパーツが入っていました。
なんだこれ?
サイトにもこのパーツについては記載がない…。
と思ったら下の方に書いてありました。
どうやらこれはスペースバーのスタビライザーのワイヤー用の穴を埋めるパーツのようです。
スペースバーの取付部分ってこんなふうに穴が空いているので、ホコリが混入しないためにふたをするための物らしい。
打鍵音に変化があるかなと思いましたが、そこは特に差を感じませんでした。なので完全にただのホコリ対策。
…キャリングバッグが付属するのもまさかホコリ対策?
磁気スイッチってホコリに弱いんでしょうか。
光らせてみた様子
PCに接続して光らせてみるとこんな感じ。
個人的にはカラフルに光らせるより白一色に光らせるのが好み。
白一色に光らせるとキシリクリスタルみたいな、氷みたいな、爽やかな見た目になってすごくよいです。
キーキャップがシリコン素材なのもあって、柔らかい・淡い印象のキーボードですね。
タイピングしてみた感想(動画あり)
タイピング音は樹脂オンリーのキーキャップに比べると少し籠もった音。
カチャカチャというよりコトコト系。
バネがギシギシする音やステムが擦れる音がほとんど無く、滑らかにぬるっと押下される。
打鍵感はかなりヨシ。
ただしキー荷重は赤軸より重いので、長文をゴリゴリにタイピングするのはシンドイ。
まぁなんせキーが敏感なので、ラピッドトリガー的には荷重が重いほうが安定するんでしょうけどね。
Atlantis Pro Keyboardを文章執筆用のためだけに買う人はまず居ないと思いますが、もし居たら思いとどまってHHKBか何か買ったほうがいいです。
この打鍵感は一言で表すなら「ゲームに特化した打ち心地」です。
ラピッドトリガーを使ってみた感想(動画あり)
Atlantis Pro Keyboardのラピトリは、
- 初回打鍵時のアクチュエーションポイントは0.2mm
- 初回打鍵後のラピッドトリガーは上下ともに0.1mm幅
が最も敏感な設定です。
つまりキーを0.2mm押下した時点で入力され始め、その後は上下に0.1mmずつスコスコすればキーがオンオフされるという意味。
とりあえず開封から1週間程度ずっとこの感度MAX状態で使ってみていますが、ヤバイです…。
どのぐらいの敏感さなのかというとこんな感じ。
体感的には「指を離す前にすでに指離しが完了している」みたいな使用感。いやマジで。
本当にわずかにキーが持ち上がるだけで入力がオフになるので、脳から指に「指を離せ」という指令が送られた次の瞬間にはもう入力がオフになっている…まだ指離してないのに…みたいな感覚に陥ります。
今までラピトリは「VALORANTぐらいしか意味ないんじゃないの?」と思って食わず嫌いしていたのですが、実際に使ってみるとPCゲームはどんなジャンルでも少なからずラピッドトリガーの恩恵はあるなと思わざるを得ません。ぐぬぬ。
FPS以外で個人的によかったのは「キーボードで車の運転をするゲーム」です。
GTA5をマウス・キーボードで操作する際などには、細かいハンドル操作が如実にやりやすくなりました。渋滞した道路をすり抜けて通っていくときニアピンで車をかわす精度が格段にアップ。
ラピッドトリガーの注意点
ただし注意点として、ラピトリは買ってすぐに使いこなせる機能ではないです。実際に使ってみてそう思いました。
筆者はAtlantis Pro Keyboardが人生初のラピトリなのですが、ちょっと指の力が緩んだだけで押下がキャンセルされてしまうのに四苦八苦しています。
例えばWで前進しているつもりが、ふいに指の力が少し抜けて入力がキャンセルされてしまい「え、なんで止まった?」と一瞬混乱するとか。
あとShiftでダッシュするゲームだと小指でShiftを押すわけなので、ふいに小指の押し付けが足りなくなってShiftが0.1mm浮いちゃったりとか。ダッシュが突然キャンセルされて戸惑ったこと数しれず。
特にAtlantis Pro Keyboardは軸の押下圧が30~60gで、押し始めは軽いけど底打ち付近はわりと重いわけです。なのでキーを底打ちし続けるのには結構強い力でぐっと押す意識が必要になります。
0.1mm幅のラピトリは競合製品のなかでは平均的なスペックですが、指が0.1mm浮くだけで入力がキャンセルされるのって一般人にはめちゃめちゃピーキーですよ。かなり慣れが必要。これが流行ってるFPS界隈すごいな。
でも筆者は謎のもったいない精神で無理しながら全キー0.1mmで使ってます。なんだか悔しいのと、これに慣れたほうが強そうな気がしてw
Atlantis Pro Keyboardの強み
使ってみてこのキーボードの強みだと感じた点は以下。
キーキャップが超サラサラ
シリコンラバーの触り心地が予想以上に快適。
これを触ったあとに一般的な樹脂のキーキャップを触ると汗をかいてなくてもベタベタに感じます。
慣れると他のキーボードに乗り換えられなくなりそうで怖いレベル。
ただし懸念点として、
- 劣化するとどうなるのか
- 猛暑のときどうなるのか
- 汚れたらどうなるのか
が使い始めて1週間程度ではまだ分かりません。
このキーキャップは、例えるならシャーペンのドクターグリップの持つところみたいな素材です。
学生時代の記憶をたどるとドクグリのグリップは経年でベタベタしてきたような気がするし、シャー芯の黒い汚れが付くと拭いてもキレイにならなかった記憶もあります。
なので耐久性はまだ評価できませんが、新品時の触り心地はピカイチなので、もし今後交換用のキーキャップが発売されるなら迷わず買いたいぐらいには今のところ気に入っています。
ケーブル差込口がめっちゃ左側
Atlantis Pro Keyboardはケーブルの差込口がめちゃくちゃ左側にあります。
キーボードをこのような逆ハの字置きにするゲーマーには嬉しい仕様。
キーのグラつきが少ない
搭載されているスイッチがボックスタイプのステムになっているため、キーを押し込んだときのグラつきが少ないです。
筆者は未体験ですが巷での評判によるとWooting等の先発商品はキーのグラつきが気になるというレビューが多いため、その点に不満を感じている人は乗り換える価値があるかもしれません。
Atlantis Pro Keyboardの弱み
競合製品に比べて弱いなと思った点は以下。
角度調節ができない
Atlantis Pro Keyboardは、キーの角度を調節するスタンドが付いていません。
そのためスタンド立てる派の人からすると「キーがだいぶ寝てるなぁ」と感じるでしょう。
まぁどうしても角度が気に入らなかったらDIYで適当なゴム足を貼り付ければいいんですが、スタンドのように立てたり引っ込めたりが容易にできるわけではないので満足度100%の使い勝手にはならない。
この点は樹脂製のキーボードより劣る部分だと思います。
ソフトウェアの自由度が競合より貧弱
ラピッドトリガーキーボードの競合製品では、
- 1つのキーに複数の機能を割り当てる(少しだけ押したら1、奥まで押したらF1など)
- キーの短押し、長押しで機能を変える
- 応答速度を高める機能
といった機能を搭載しているキーボードがあります。
Atlantis Pro Keyboardはそれらのキーボードより後発にも関わらずそういった機能を搭載していません。
出来ることといえば、
キーの割り当てをシンプルに変更すること。
ラピッドトリガーの感度を変更すること。
ライトの光り方を変更すること。
キーボードマクロを編集すること。
このぐらいです。
Mod TapやタキオンモードなどはAtlantis Pro Keyboardにはないので、その点はあらかじめ留意しておく必要があります。
うーん価格を考えるとソフトウェアは貧弱だと言わざるを得ませんね。いろいろやりたい人には不向きかも。
まぁ筆者的には最右列のDel End PgUp PgDnの割り当てを自分好みに変更できるなら後はどうでもいいので、個人として不満を感じているわけではないですけど。
どんな人におすすめ?
こんな人におすすめ
- このデザインに惚れた人
- スベスベサラサラなキーキャップを試したい人
- ラピトリの性能は必要十分であればよい人
- どうせ高い金出して買うなら高級感のある物を買いたい人
こんな人には不向き
- 安さ重視の人(もっと安いラピトリは他にある)
- 頂点が欲しい人(もっと高性能なラピトリは他にある)
全キーにシリコンラバーキーキャップが付いているのは他にはない魅力です。
星をつけるとしたら星4くらいでしょうか。ソフトウェアの機能がアプデで拡充されたりなんかしたらもう個人的には星5。
価格はHID-Labsオンラインショップで¥28,490 – ¥29,920とのこと。(箱つぶれ品はちょっと安い)
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