2020年4月に発売したばかりのBenQの4Kモニター EW3280U をレビューします。
レビューにあたり2週間ほど使ってみたのですが、このモニターの特徴を簡潔にまとめると、
- 色がかなり正確(実測値でP3カバー率97%)で、
- USB-C 60W給電に対応してて、
- PCモニターなのに2.1chスピーカーやリモコンが付いてて、
- アイケア機能も充実してる万能モニター
という感じ。
特に色の綺麗さに関しては目を見張るものがあり、Macbook ProのRetinaディスプレイと並べて使ってもほとんど差を感じないレベルの鮮やかさだと思いました。
USB-C対応でMacとの相性もいいですし、何より一度4Kモニターの作業効率に慣れてしまうともう低解像度モニターには戻れません…
このご時世、自宅でのPC作業時間が増えてしまったテレワーカーの人にはピッタリのモニターではないでしょうか。
ただ、2週間も使っていると「ここは不便だな…」と思う点も出てきます。
そこらへんも正直にレビューしていますので、購入検討している方は参考にしてみてください。
EW3280Uのスペック・外観
EW3280Uは2020年4月にBenQから発売された32インチ4Kモニターです。
BenQ公式製品ページ:https://bit.ly/2XtjZwu
スペック
- パネル:32インチ IPSパネル
- 解像度:4K(3840 × 2160)
- 10bitカラー対応
- sRGBカバー率100%、DCI-P3カバー率95%
- USB-C接続・60W給電対応
- 2.1ch treVoloスピーカー搭載
- FreeSync
- HDR10対応
- DisplayHDR400準拠
- HDRエミュレート機能「HDRi」搭載
- ブルーライトカット機能あり
- フリッカーフリー仕様
- リモコン付き
特徴的だと思った部分は太字にしてみました。
USB-Cで接続できるためMacとの相性がよく、HDR系の機能も充実していてエンタメにも強いモニターという感じでしょうか。
PCモニターなのに2.1chスピーカーを搭載しているというのも珍しいですね。
外観
フレーム部分は茶色がかったガンメタのような色。
メーカー曰く、木目のデスクとのマッチングを考えてこの色にしているとのこと。
下側のベゼルが太いなと思うかもしれませんが、ここにはスピーカーが内蔵されています。
EW3280Uは2.1chスピーカーを搭載しているモニターです。
背面にはウーファーまで搭載しているため、この手の内蔵スピーカーとは思えないほど低音もガッツリ鳴りますw
例えるなら3000~4000円程度のPCスピーカーに匹敵するぐらいの音質で、ちょっとした用途なら十分使い物になるレベルですね。
ぼくはデスクにPCスピーカーを置いておらず、常にヘッドホンで音を聞いているのですが、
- ヘッドホンをしたくない気分のとき
- 家族と一緒にYoutube動画を見るとき
なんかにはEW3280Uの内蔵スピーカーが非常に重宝しています。
このぐらいの”ちょっとした用途”で使うには十分すぎる音質ですねー。
モニター下部にはボリュームノブも搭載。
ポート類。
数は豊富ではないですがUSB-Cに対応しているのは嬉しい。
背面カバーを外すと100 × 100mmのVESA穴が出現。
スタンドのカバーを外した状態。
ケーブルホルダーになっています。
穴は小さいですが、電源・HDMI・DisplayPortの3本くらいは普通に通すことが出来ました。
あとEW3280UはPCモニターには珍しいリモコンが付属しているモニターなんです。
モニター本体にも操作ボタンは付いていますが、基本的にはこのリモコンで全て操作出来てしまいます。
使って思いましたが、やっぱりPCモニターにもリモコンがあったほうが明らかに便利ですね。
ちなみにモニターのサイズは上記の通り。
(コンベで測ってみた実測値)
16インチMacbook Proを前に置いてみるとこんな感じ。
簡単に言えばMacbook Pro16インチを横に2台並べたのとほぼ同じ横幅があるということになりますね。
PCモニターとして一般的なサイズは21~27インチくらいでしょうから、32インチのEW3280Uはとても大型なモニターです。
EW3280Uの画質
EW3280UはIPSパネルを採用しているので色の綺麗さにもそれなりに期待したいところ。
という事で画質に関して色々とチェックしてみました。
視野角のチェック
IPSパネルの強みと言えばまずは視野角の広さ。
デスクトップ背景をオレンジ単色にして分かりやすく撮影してみました。
結果は上記の通り。
流石に斜め横から見ると少しグラデーション感が出てしまいますが、画面を上下にチルトさせた程度では色ムラも感じません。
32インチという大型サイズにも関わらずとても均一に色を表示出来ていることが分かりますね。
このぐらい色が均等なら、Illustrator等で単色ベタ塗りを多用したデザイン作業をしたりしても特に違和感なく作業を進められるでしょう。
色味のチェック
モニターの色味を測定・調整するキャリブレーター「Datacolor Spyder X Pro」を使い、EW3280Uの色域を測ってみました。
その結果がこちら。
(赤い三角がEW3280Uの測定結果です)
- sRGBカバー率:100%
- NTSCカバー率:86%
- AdobeRGBカバー率:88%
- P3カバー率:97%
スペックシート上ではP3カバー率95%とのことでしたが、実測値では97%と言う数値を叩き出してくれました。
まぁSpyder X Proは安いキャリブレーターなので誤差はあると思いますが、色域の広さに感じてはスペックに偽りはないようです!
肉眼で見ても安物モニターにありがちな「変なギラギラ感」などは皆無で、ごく自然に鮮やかな発色をしていると思いました。
一般的なレベルでは画質が良い(色がきれいな)モニターと言って差し支えないでしょう。
ちなみに余談ですが、本当に色が”正確”な業務用モニターは発色がすごく地味です。(誇張が一切ないので)
なので一般人が使うと「なんだこれ、くすんだ色だな?」と感じます。
EW3280Uはそういう「データ的に正確な色味」というよりは、「人間が綺麗だと感じる色味」を追求したモニターと言えるでしょうね。
HDR機能のチェック
EW3280UはDisplayHDR400・HDR10に対応していますので、HDRの効果も検証してみました。
EW3280UのHDRは「DisplayHDR」「シネマHDR」「ゲームHDR」という3つのモードがありますが、上記は「DisplayHDR」で表示してみた状態とHDRオフの状態を比較した写真です。
HDRオフのときは暗い部分のディテールが黒く潰れてしまっていますが、HDRオンにすると暗い部分が暗いなりにしっかり表現できるようになりましたね。
できの悪いHDRだと発色がギラギラしたり色味が破綻してかえって画質が悪く見えたりもしますが、数多あるHDR対応モニターの中でもEW3280Uは特に画質がいい部類に入ると思います。
こちらはゲーム内明るさをMAXにしてみた状態との比較。
HDRを使わずにゲーム内明るさで調整しようとするとこのように暗いところまで一緒くたに明るくなってしまうため、HDRをオンにした状態と比べると雰囲気・空気感がイマイチですよね…
(というかそもそも色合いが全然違いますが)
まぁモニターをカメラで直撮りしただけのこんな写真でHDRの高画質感はほとんど伝わらないのですけど、肉眼で見るとEW3280UのHDRは本当に鮮やかで綺麗です…
4K解像度の使い勝手
これは「画質」とは少し違いますが、3840 × 2160という解像度を体験したことがない人のために参考画像を貼っておきます。
4Kは簡単に言えば「フルHDを4つ並べた解像度」ですから、ブラウザを4枚並べたって狭さは全く感じません。
動画編集も余裕。
4Kモニターを1枚持っておけばたいていの人は「画面のスペースが足りない」と感じる事なく作業できるのではないでしょうか。
EW3280Uを2週間使ってみた感想
さて、それでは実際に2週間ほどEW3280Uを使ってみて感じた感想を書いていきます。
まず「良かった部分」は以下の通り。
EW3280Uの良かったポイント
- 色がとても綺麗
- USB-C 60W給電に対応
- 「電子ペーパーモード」が何気に使える
まず感じたのは発色がとても綺麗だなぁーという点。
▲写真で画質を伝えるのは非常に困難なのですが、Macbook ProのRetinaディスプレイと比較してもほとんど遜色のない画質だと思いました。
まぁさすがに上記のように目の前にMacbookを置いて比較してしまうとMacのRetinaディスプレイのほうがそりゃ綺麗なんですけど、その差は本当にわずかです。
Macのサブモニターとして使うには最適な機種だと思います。
それにマカーとしてはUSB-C 60W給電に対応しているのも嬉しいポイントですね。
USB-Cには対応していても「映像通信のみ・給電非対応」という中途半端な仕様の機種も多いのですが、EW3280Uはしっかり60Wで給電できるタイプ。
給電用にもう1本ケーブルを足さなくていいのでポートが空きますし、何より配線がスッキリして気持ちいいです。
あとEW3280Uには電子ペーパーモード(ePaperモード)という機能があるのですが、試しに使ってみるとこれがなかなかいい感じなんですよ。
ePaperモードは上記の通り「Kindleのような電子ペーパー端末っぽい色味で表示する」という機能なのですが、これ、めちゃくちゃ目が楽なんです。
それに余計な色が目に入ってこないので、
- 文章をひたすら読まなきゃいけない時
- ブログを書いている時
- コーティングをしている時
みたいなシチュエーションで気を散らさずに作業出来る気がします。
集中が切れてついついYoutubeとか見たくなっちゃっても「色をカラーに戻す」という一手間が面倒だから作業に戻る、みたいな。
テレワークでなかなか集中できないという人にはぜひ試してほしい機能ですねw
EW3280Uのイマイチなところ
では逆に残念だと感じた部分については以下の通り。
- スタンドの調整が効かなすぎる
先日にBenQ EX2780Qをレビューしたときにも感じましたが、スタンドの調整がチルトしか出来ないのが本当に不便です…。
チルトというのは上記のような「お辞儀の動き」こと。
はい…EW3280Uは8万円もするモニターなのに高さ調節すらできません。
まぁ幸いにもモニターアームを付けるネジ穴は付いているので高さを調整したかったらアームを付ければいいのですが、とはいえ32インチの重量級モニターを支えるにはそれなりに耐荷重があるモニターアームが必要です。
アームだってそれなりの値段はしますから、せめて高さくらいはスタンドで調節できたら文句なしだったんですけどね…。
まとめ
- 色ムラがほぼ無い高品質なIPSパネル採用
- 実測値でP3カバー率97%という色の正確さ
- USB-C 60W給電に対応
- スタンドの調節機能が少ない
一般向けのモニターとしてはかなり色が綺麗です。
4Kゲーミングモニターとしての使用はもちろん、よほどのガチプロじゃない限り写真の現像やデザイン・お絵かきにも十分使えると思いました。
それにMac使いの人にとってはUSB-C 60W給電に対応しているのも重要なポイント。
モニターと繋いでいれば勝手に充電されるので、デスクに「Macを充電するためだけのケーブル」を垂らしておく必要はもうありません。
8万円という価格は簡単に出せる金額ではありませんが、どうせ買うなら良いものを…という思いがある方にはかなりおすすめできる機種だと思います。
値段以上の所有感・満足感を得られるはずですよ!
追記:購入してから時間が経ったので長期使用レビューを改めて書きました。
この記事へのコメント
コメント一覧 (2件)
きのう届いたのですが、リモコンスタンドの写真を見て、こういうことだったのかと
納得しました。
公式サイトにも書かれているように、9月20日以降、スタンドが大きくなり
5センチほど手前に出っ張るようになったのですが、リモコンスタンドはそのまま
なため、やや中途半端なんです。前期モデルはぴったり枠内に収まるんですねー。
転倒防止対策なのか、このサイズと共にチルト角度も浅く変更になってます。
すでにアームに変えられたようですが、このスタンド、ちょっと問題があったのかも
しれませんね。
コメントありがとうございます。
そんなマイナーチェンジがあったんですね!
知りませんでした。
でもってチルト角度が狭まってしまったとなると、使い勝手は更に悪化・・・?
うーん、8万円のモニタにしてはスタンドが不出来なのは否めませんね。
画面部分の性能は普通に優秀なのですが。